デッキレシピ:やさしい水浴びLO
やさしいシャワーズを救いたい。
いつしか私はそう思うようになっていた。
ブイズの中でとりわけシャワーズに思い入れがあったわけではない。
しかし。
カードを漫然と眺めていると、いつもやさしいシャワーズのところで手が止まってしまう。姫野かげまる先生による麗しいイラスト。
これがランクDなんかに甘んじていていいのか。
なんとかしてこれを実戦的に使えないか。
やさしいシャワーズを、救いたい。
やさしいシャワーズの可能性
水 あらいながす:コインを投げて「おもて」なら、自分の控えポケモンを1匹選ぶ。その後、そのポケモンにのっているダメージカウンターを、すべてとりのぞき、そのポケモンについている「エネルギーカード」を、すべてトラッシュする。(自分に控えがいないとき、このワザは失敗する。)
水水無 ヒプノシャワー 30:相手を「ねむり」状態にし、おたがいの控えポケモン全員にのっているダメージカウンターを、それぞれ1個ずつとりのぞく。
もっている技2つとも、旧裏でほかにない独特なもの。使いづらそうなことこのうえないですが、果たして使えるのか……?自分なりにこのカードの用途を考えてみました。
①自陣にダメカンが乗る技のカバー
まず考えたのはこれです。
ゴローン(neo3)などがもつ「じしん」系の技は自分のベンチ全体に確定でダメカンが乗ります。やさしいシャワーズの「ヒプノシャワー」は、互いのベンチのダメカンをとってしまいますが、こちらのほうがダメカンが乗りやすいなら、メリットは勝るはずです。しかしゴローンとは色が合いませんし、1回じしんを使ったら次にはもう一つエネを貼って「がんせきおとし」を使うのが自然です。
タケシのキュウコンでゴローン、カブトプス(neo2)、やさしいシャワーズと化け先を変えるのもおもしろいかと思いましたが、わざわざやさしいシャワーズにばける場面が思い浮かびにくい。
もう一つ、フリーザー(化石)との組み合わせも考えました。「ふぶき」はコイン裏なら自分のベンチにダメカンが乗ります。カメックスフリーザーに1-1でやさしいシャワーズラインを入れたらそこそこ使えるかもしれません。が、あくまでふぶきの出来が悪いときの小回復と時間稼ぎにしかなりません。弱点もカメックスと同じですし、普通にスーパーポケモン回収とかせまいジムを積んだほうがスマートな感じがします。
ということでこのスジは頓挫。自陣にダメカンが乗りやすい場合は、割り切って「いかり」などに生かす道を考えたほうが強そうです。
②わるいゲンガーとの組み合わせ
次に、「ヒプノシャワー」の確定ねむりを生かすことを考えました。わるいゲンガーの登場です。
わるいゲンガーがいればねむりで投げるコインは2枚。75%の確率で相手はねむりのままです。これならヒプノシャワーの30点という低い打点でも、抵抗力を持たれないしいけるのではないか?
まあそんなうまい話はなく、まず色の問題。水エネメインにするとわるいゲンガーが技を使いにくくなります。さすがにわるいゲンガーを置物にするのはもったいないですが、はたしてやさしいシャワーズのために2色デッキにする必要はあるのか??
そして序盤を誰が担うのかも問題。3エネ起動ばかりではちょっと戦線が持ちません。そして、序盤要員を上手に入れたとしても、理想盤面の打点が30じゃあ弱すぎます。ねむりがうまくいっても勝ちきれません。対面を入れ替えられたらヒプノシャワーは恵みの雨になってしまいますし。
ということでこれもナシ。うまくやれば遅延くらいはできると思いますが、勝ちにもっていく要素が乏しすぎます。とはいえLOまで目指すとなると、既存の構築のほうにはるかに分がありますね。
③ エネを貼らないポケモンの回復
「あらいながす」は1エネで使えるものの、コイン判定とエネ全トラがネック。でも逆にいえば、そもそもエネを貼らないポケモンに試みればデメリットは半分です。
しかし、これで壁ポケモンの回復を狙うのは現実的ではありません。壁を一度ベンチに下げるくらいなら、そのまま倒されるのを待つほうが都合がいい場合が多いからです。なので、ベンチの置物を回復させることを考えます。
そこで考えたのがヤドラン(化石)との組み合わせです。
実はやさしいシャワーズとかなり相性がいいです。
- あらいながす:エネを貼らないヤドランに「へんなこうどう」でダメカンを集めて、50%で流せる
- ヒプノシャワー:「へんなこうどう」でダメカンをもらうことで、回復対象が増える
傷ついたバトル場のポケモンをひっこめて、そのままヒプノシャワーを使うとダメカンが1個減るだけですが、ヤドランに1個ダメカンを移してからヒプノシャワーを使うと計2個のダメカンが減ることになるわけです。
もうお気づきの方も多いと思いますが、これ、やってることはフーディン(第一弾)の「ダメージスワップ」 の簡易版です。やさしいシャワーズとフーディンを組み合わせられれば強そうですが、色拘束の問題と、進化ラインの重さが大きな問題になります。ヤドランならたいして枠を食わないうえ、気軽に回収でき、ヤドンは水エネで殴れます。
では何をメインアタッカーに据えるか。
最初に考えたのはエネエネ軸のひかるカブトプス、ひかるライチュウ。相手のデッキによってはかなり強力な盤面を築けるのですが、メタメタにエネを貼ったエースを守り切れないと一気に形勢が悪くなります。昨今はHP90圏対応の火力を備えたデッキが多く、ひかるエースたちがワンパンされてしまって回復ギミックで支えられないことが多かったです。
そしてたどり着いたのが鋼ラッキーでした。
デッキレシピ
1 ラッキー(第一弾)☆☆☆☆/★★★★
1 イワーク(サザン)
1 ハガネール(neo1)☆
2 ベロリンガ(ジャングル)
1 イーブイ(ファンクラブ)
1 やさしいシャワーズ(neo4)
2 ヤドン(neo1)
2 ヤドラン(化石)
1 エイパム(neo1)
1 コラッタ(R団)
1 ブビィ(イントロneo)
4 ウツギはかせ
4 エリカ
3 マサキ
2 パソコン大暴走!
3 ポケモン交換おじさん
1 ポケモンギア
2 夜の廃品回収
1 いいきずぐすり
2 ポケモン回収☆☆
2 ロケット団参上!
1 ワープポイント
1 ポケモンいれかえ
2 くすぐりマシーン
1 にせオーキドはかせ
4 リサイクル
2 エコロジム
7 水エネルギー
4 鋼エネルギー☆☆☆☆/★★★★
ーーーーーーーー
杉並殿堂2020☆:11/8
新殿堂 ★:8/8
コンセプト
前述のとおり、やさしいシャワーズ+ヤドランの回復ギミックを有効に使えるメインアタッカーの条件として、ワンパンされにくいことを考えていました。鋼ラッキーは完成すればその条件にうってつけです。
デッキのモデルはまたしてもB3さんの鋼ラッキー。しかし今回は回復ギミックをやさしいシャワーズ+ヤドランにするなど、中身はかなり違うものになっています。
回復ギミックがラッキー専用ではないことを生かして、ドンファン等の闘デッキ対策に1-1でハガネールラインを追加。相手をみながら、より堅く守れるほうに鋼エネを貼っていきます。これにやさしいシャワーズの回復&遅延が加われば、LOが順調に近づいていくという寸法です。
LOについての考察は以下の記事参照。
基本的な動き
ベロリンガにがんばってもらう
序盤は鋼ラッキーの基本的な動きをします。ベロリンガの壁性能に頑張ってもらいます。ヤドンスタートなら、将来的な逃げエネにもなるのでエネ貼って殴ります。闘デッキ相手ならハガネールのパーツ集めを急ぎます。
ベンチで要塞づくり
ラッキーとハガネール、どっちを要塞化するか決めたら、鋼エネを集めていきます。鋼エネが貼れないタイミングではイーブイに水エネを貼っていきます。育成途上の要塞への攻勢が強く、受けきるのが厳しそうであれば、やさしいシャワーズに進化して「あらいながす」を試みるのも手です。きまるとヤドランに移したダメカン5つが一気にとれて強い。
なお、ベンチには常に逃げゼロを確保したいので、「れんさしんか」を使うタイミングには注意したいところ。
要塞、時々水浴び
ダメカンがたまってきたら、やさしいシャワーズに入れ替えて、ヒプノシャワーで回復・遅延を行います。ヤドランを使いながらだとしばらく居座れたりしますが、死に出しではなく、無理せずやってベンチに帰りましょう。逃げ1ですし、残しておけば確定ねむりが終盤の勝ち筋をつなぐ場合があります。
なお、このデッキは基本的にラッキーで戦うことを前提にしているため、ハガネールを要塞化した場合は逃げエネが重いことに注意が必要です。
個別解説
ドロソ
B3式をアレンジした配分です。詳しくは前回の催眠ラッキーLOの記事を参照。
イワーク(サザン)
闘タイプの受け手になれるようHP90のイワークに。スターターになってしまったら殴れないベロリンガと化しますが、草デッキ相手にはハガネールに進化するまで大事にしたいところ。
ちなみに、2エネ0~40点の「たたきつける」は鋼ラッキーミラーで活躍する可能性を秘めています。
ポケモンいれかえ
ワープポイントばかりだと、ヒプノシャワーが相手の助けになってしまう場合があります。また、ハガネールを入れ替える際にそのまま対面を殴り続けたい場面が多いことから、それぞれ1枚ずつ入れることにしました。悩ましいところです。
いいきずぐすり
エネが付きっぱなしのヤドランに使うと気持ちいいです。また、終盤はエネの貼り先がなくて余りがちになるので、使いどころは必ず出てきます。
使用感・弱点
リソースを捨てないドロソ配分のおかげで、ピン差しのカードでもわりと簡単に引くことができます。やさしいシャワーズはサイド落ちさえしてなければ「れんさしんか」でもってこれてお手軽です。
ラッキーとハガネールのWエース構築なので、やはりタイプ弱点をカバーしやすいのが大きな強みです。やさしいシャワーズ+ヤドランの回復ギミックは息が長いので、無事に要塞が完成すればそうそう負けません。
一方で、ハピナスギミックに比べてやりくりが必要になる回復ギミックなので、終盤の肝心な時に使えない場合があります。これは一長一短なので仕方ありません。
ベトベトンに対しては、ハピナス型よりはマシですが、あまり当たりたくない相手であることに変わりありません。水以外のグドラべトンは封殺できますが、「たつまき」を使えるデッキには注意したいところです。ハガネールで早めに攻勢に出れば勝負になるはず。
闘デッキに対してはだいぶ強くなりました。しかし鋼ラッキーの宿命としてベンチを呼べないので、ドンファンが得意でないのは変わりません。ただ、こうそくスピンを受けるたびにポケモンを変えられるので、ハガネールの重い逃げエネが苦になりませんし、やさしいシャワーズで受けきれる可能性が高まっています。LO狙いのドンファン相手ならベイビィ判定が勝負を分けそう。
おわりに
やさしいシャワーズ、やっぱりランクDに甘んじていいカードではないと思うんです。
この記事で示した通り、使い道はありますし、実際ハマると強力です。文字通りの寝技。また、進化元にファンクラブイーブイを使えることで、最小枚数でも機能する点も十分評価に値すると思います。
それと余談ですが、カードデザインという観点でも、シャワーズという受けに秀でたポケモンの性質と「やさしいポケモン」らしさが見事に表現されているのが素晴らしいです。
これを機に、やさしいシャワーズの評価が高まり、さまざまなデッキで採用を試みられることを切に願います。