デッキレシピ:俺のわるマタ ~鶏皮とクラゲを添えて~
古来より実力を示してきたわるいマタドガスのデッキ。
ベンチにドガース系を並べて殴るだけの単調な攻撃パターンですが、その速攻と火力は驚異的。もちろん弱点はあるものの、対策を怠ると一気に負けに追い込まれかねないデッキパワーをもち、現代でも有力なデッキの一つです。
単調な攻撃とは裏腹に、ドガース系の頭数の管理や、自傷ダメージのケアなど、繊細な構築とプレイングを要求されるデッキではありますが、「王道の構築が結局一番強い」という結論になりがちです。それでも、新しい可能性を求めて、この古典を紐解いていきます。
デッキの方針
タケキュウを入れるか否か
「わるマタ」といえばタケシのキュウコンの「ばける」。
この、ドガース系の頭数を増やす戦術は、王道構築のキモであり、弱みでもあるところです。わるマタを作る場合、まず「タケキュウを入れるか否か?」が分岐となるでしょう。
※タケキュウ型の王道構築は、戦い方も含めてこの記事がわかりやすいです
入れないならスイカ流に勝るか
タケキュウを入れない場合は大幅にデッキの枠が浮くため、そこをデッキの脆いところや強いところに回していきます。私が特に好きなのは以下の2つです。
「スイカ流わるマタ」は、個人的に非タケキュウ型のトップ構築だと思っています。弱点である超を受けられるラッキー、鋼を共有できるラッキー、わるマタの弾切れをカバーするラッキー……わるマタでサブアタッカーを考える際は、このラッキーを上回る力を発揮できるかが検討の焦点となるでしょう。
メタモン型の構築は不安定ながら旧裏らしい可能性に満ちた構築。「タケキュウを抜くなら」という論点での検討も大いに参考になります。
今回はタケキュウ型のアレンジへ
最初は非タケキュウ型を検討していましたが、ラッキーを超えるサブアタが見つからなかったこと、ギミックが多くてもベンチを圧迫して本末転倒になることから、今回はタケキュウ型のアレンジをすることにしました。
コンセプトは以下に設定しました。
1.要塞型への対応の再検討
2.壁役を設ける
3.息切れせずに勝ち切る
デッキレシピ
4 ドガース(イントロ)
4 わるいマタドガス(R団)☆☆☆☆
1 マタドガス(化石)
3 タケシのロコン(みつめる)
2 タケシのキュウコン
1 ピジョット(ジャングル)
1 メノクラゲ(化石)
4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
3 マサキ
1 マチスの交渉
3 ポケモン交換おじさん
1 礼儀作法
3 夜の廃品回収
3 エリカの親切
1 学習装置
3 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆/★★★
1 突風☆☆/★★
1 ポケモンいれかえ
2 ロケット団のアジト
7 草エネルギー
3 鋼エネルギー☆☆☆/★★★
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杉並殿堂2020☆:12/8
新殿堂 ★:8/8
コンセプト
要塞型への対応の再検討(ピジョット採用)
タケキュウ型わるマタでは、ハガネールやバリヤード対策にスピアー(neo2)が採用されることが多いです。このスピアーを使いたくてわるマタに着手したといってもいいのですが、「さんばいどく」はコイン依存。
バリヤード相手には決まれば一撃ですが、要塞相手では入れ替えられたらおしまいです。メインの筋ではないのでこのくらいでも十分強力といえますが、もう少し何かできそうな気がしていました。
そして思いついたのがピジョット(ジャングル)です。
進化前のポッポがどうにも弱く、育てづらいカードですが、「ばける」で乗せればかなり活躍できるのでは?と考えました。
- 「ハリケーン」は3エネを要しますが、相手のガチガチの要塞を無に帰すことができます。3エネは高いハードルに見えますが、要塞型相手では猶予がある場合が多いこと、マタドガス進化含みで1エネ貼っておけること、学習装置を採用していることから現実的なラインに乗ります。
- 結局ピジョットを出さないにしても、交換おじさんなどで見せるだけで、相手のエネの貼り方を変えさせることができます。
- バリヤード相手には「つばさでうつ」20点も地味に優秀です。
壁役を設ける(メノクラゲ採用)
わるマタは構築上、起動までの受けと、後手をとって攻め込まれたときの凌ぎが課題になってきます。
しかし相手によっては無視しても全然問題ないところなので、そこまでデッキスペースを割くのは避けたいところ。ここを適度にケアするには?
壁ポケモンやベイビィは、場に出した後に回収する手段がないと、わるマタの火力が制限されてしまいます。かといってポケモン回収などを積むのは、デッキスペースを割くわりに明確なメリットが乏しいです。
そこで採用したのがメノクラゲ(化石)です。
壁役の話からHP30の貧弱なカードが出てくるのは意外かもしれませんが、使ってみると思いのほか便利なカードです。
- スターター:ベンチありのメノクラゲ相手に1ターン目から30点出そうとしてくる相手は少ないです(ただし雷を除く)。1ターン目のダメージはメノクラゲで受け、逃げて「おくびょう」で手札に回収します。
- 相手に攻め込まれた時:火力に転化しうるほかのポケモンよりは、メノクラゲを差し出すほうがはるかによいです。
- とりあえず出しておく:あらかじめ出しておけば、たとえばオーキド後に引いた交換おじさんのコストにするなどの使い方が可能です。山札と手札を行ったり来たりしにくいので、デッキの回転に貢献します。
- たねのかさまし:ベイビィやコラッタをベンチスペースの都合から不採用にするため、たねポケモンが不足します。タケシのロコン4枚では手札に余るため、1枚減らした分のたね枠というポジションも兼ねています。
息切れせずに勝ち切る(トレーナーカードの見直し)
タケキュウ型のわるマタの強いところは、最大打点の上限が高いことではなく、70~80点の確定1発ラインの火力を維持しやすいことだと考えています。
タケキュウ2体を並べてばければ、わるマタは最大120点を出すことが可能ですが、2ターン目から殴る相手にそのHP族はそうそういません。ベロリンガ等のHP90族がせいぜいなので、序盤から無理に火力を上げにいく必要はないのです。ドガース系を出し控えるというのではなく、リソースを捨ててまで無理に山を掘らないほうがよいという意味です。最低限積んだトレーナーカードをなるべく維持して戦うことを意識します。
回復カードはおなじみ「エリカの親切」。2回は使うことを想定して3枚採用です。さて、サイド6枚を取り切るまでのプランを考えたときに、これ以上回復札を増やすメリットはどの程度あるでしょうか?
一体ドガース系を失うと火力が下がる都合上、HP50~80の戦線維持を考えるよりは、相手の強いカードを効率よく狩っていくほうがメリットが大きいと私は考えました。
それを踏まえての突風・逆指名の大量採用です。
こちらのポケモンはすべて逃げ1以下。一度有利盤面を作ってしまえばエネが余るので、逃げエネを払ってでもベンチを呼べるのは強いと考えました。
一方で、逃げづらくされたり、逃げエネの余裕がなかったりする場面も想定して突風も入れています。
マチスの交渉は、4枚目のマサキの代わりに採用したおまけ要素です。序盤であっても、ドガースが見えている状況で相手が乗ってくれるかは怪しいですが、成立すればこちらの息切れリスクを減らし、エネエネなどでの相手の巻き返しも抑制できます。
基本的な動き方
普通のタケキュウ型わるマタとほぼ同様です。
火力アップのためにタケキュウがわるマタにばける場合もあると思いますが、次にピジョットにばける構想がある場合は少しずつエネを貼っていく場合もあります。
メノクラゲの使い方は前述の通りです。
個別解説
ドガース(イントロ)
拡張シートドガースの「ぶんれつ」は魅力ですが、殿堂払ってまで採用する気にはなりませんでした。手札にきたポケモンはどんどん出していけるようにしているので、わりとドガースは引きやすいです。夜廃後のピックはサーチが切れると厳しくなってしまいますが・・・
ロケット団のアジト
回復を増やすよりはHP上限ということで。
抵抗力低下ジムは切りました。鋼対策というかほぼハガネール対策なので、一枚の価値がそこまで高くないかなと。ピジョットを過信するわけではありませんが、ベトベトン入りのハガネールはまれなので頼れるはずです。また、こちらが順調に2ターン起動すれば要塞化する前になんとかできる線もあると踏んでいます。
学習装置
もう一枚くらい入れたいです。後手をとったときは立て直しのために特に重要です。わるマタミラーでもキーカードになります。
ドロソ
好み次第ですね。エリカを使うと相手の盤面のほうがよくなることが多かったので、私は不採用にしました。攻撃が単調なぶん、相手も容易にデッキから対応策を立ててきます。
ウツギはサーチや入れ替えを使えなくなるので、そのターンの理想展開への道筋を閉ざしてしまうことが多いです。とはいえ引きの量とリソース管理を考えたときに、代用できる札が見つからず4投です。ウツギのせいで事故ることが結構あって歯がゆい・・・
また、ドガースを並べたい都合上、当初礼儀作法を多く採用していましたが、序盤に進化カードをデッキに戻せるのは便利(オーキド前など)だったので1枚まで減りました。
使用感
わるマタは使っていて楽しいです。単純に相手をバッタバッタ倒していくのはやはり気持ちいいですね。
使用感としては、メノクラゲがいい具合に潤滑剤となります。
ピジョットのハリケーンが決まると爽快ですが、そういった場合は相手が長期戦志向であることが多いので、限られたリソースと山札で勝ち切るためには、ハリケーン後に余裕があるわけではないことも実感しました。一時的に有利にはなるんですけどね。ピジョットで居座るよりは、わるマタにばけなおすといった手のほうが有力でした。
超相手は、火力の出るポケモンに注意して戦えばこちらのペースにできます。状態異常も逆指名があれば苦ではないですし。
サイド落ちは仕方ないと受け入れる方針ですが、ドガースや3投のカードで同じものが2枚落ちるときつかったです。普通のリスクの範囲内ですが。
ちなみにわるマタミラーは先攻ゲー&学習装置の利かせ合いになるので、祈りながら戦うことになります。
おわりに
わるマタは研究されつくした構築のように思えて、自分でデッキを作ってみる気になれなかったのですが、あれこれ考えてみると結構おもしろかったです。
杉並2020ではわるマタに殿堂がつき、使いづらい環境になってしまいましたが、他の殿堂環境でも大会ではあまり見かけなかったように思います。
わるマタはオーダイルを確1できるため、今年は注目度が上がりそうな気がしますが・・・どうでしょうか。非キュウコン型の新種も見てみたいですね。