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ポケカ旧裏用ブログ

縹グドラべトン補論

2020年に要所で使い、その都度ブラッシュアップしていった「縹グドラべトン」についての追記です。
1年を通してグドラベトンをまじめに追究してみて、これまで言及されてこなかった強さも見えてきました。この記事ではその強さについての解説と、環境とのかみ合わせをまじえた縹グドラべトンの分析を行っていきます。
 

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あらためてグドラべトンの強さとは

「なぜか強い」とされてきたグドラベトン

グドラべトンはキングドラが2進化のわりに打点が低く、逃げの重いベトベトンも狙われがちなので、パッと見あまり強そうに見えないデッキです。でも、「なぜか強い」とよく言われます。そして事実として、無事にグドララインが立てば長期戦で逆転しやすいのです。
 
「逆転」と書きましたが、グドラべトンを使う場合、サイドを大幅に先取されないまでも先に攻められる展開が多くなります。あと一押しされると絶望的、というような苦しい時間を過ごすこともしばしばありますが、そこで我慢して耐え、力をためてじわじわ反撃して差を詰めていくのがグドラべトンの醍醐味と言えるでしょう。
 
ではなぜ、それがグドラべトンで可能となるのか。
 
 

従来のグドラベトン評:グドラの高耐久+1エネ起動が強い

グドラべトンがじわじわ差を詰めていける理由として、従来は「高耐久・弱点なし・1エネ起動でポケセン相性◎」のグドラがベトン付きで堅いから、という説明がほとんどでした。もちろんその通りなのですが、これはカードパワーの評価に終始しています。

 

事実として起こっていることは同じですが、それをどの観点で捉えるかによって構築の方向性やプレイングの選択肢が変わってくるでしょう。本稿ではより鳥瞰的に、「それによってゲーム上何が起こるか」まで切り込んで行こうと思います。

 
 

本稿での注目点:”受け”が手得につながる

相手の攻撃を受けて、耐えて、逃げて、受けて、耐えて、ポケセン。これを「高耐久」と呼ぶのはその通りなのですが、本稿では違った捉え方をしてみます。
 
グドラべトンは相手の”攻撃機会”を結果的に減らせる
 
攻撃宣言は1ターンに1回しかできません。ダメージを与える機会もほとんどこのタイミングのみです。この攻撃機会を結果的に減らせるとはどういうことか。
 
対戦で起こることは変わりません。ダメカンがたまった状態でのポケセンです。相手の攻撃を、きぜつしないように受け回してから回復することで、何回ぶんもの攻撃(=攻撃機会)を無効化することになります。たとえば40点の攻撃を4回撃たれたとして、きぜつせずに受けきってポケセンで回復できたら、合計HP160の回復になります。これは相手の4ターンの攻撃を無駄にさせたと考えてよいでしょう。サイドで考えると2枚ほど得をしているでしょうか。そして、その間こちらが攻撃し続けていたとすると、相対的にこちらの攻撃機会が4回多くなっています
 
このように、一見消極的に見える”受け”(とポケセン)によって、実は大きな手得(結果的にこちらの攻撃機会が多くなる)を挙げられるのがグドラべトンの強さの根底にあると私は思っています。これが成立するからこそ、「りゅうのいでんし」→「だくりゅう」が30点しか出なくてもサイドレースで競り合えるのです。
 
 

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相手の4回の攻撃機会を奪ったポケセン

 

 

グドラべトンの強さを支えるキーカード

ポケモンセンター

受けに重きを置くグドラおいて最重要のカード。これを使いたいタイミングで使えるかどうかが勝負のカギを握ります。とはいえ序盤に来ても使いどころがなく、事故のもとになるため、何も考えず4投すればいいというものではないのが難しいところ。
 
エイパムで戻そうにも優先度が下がるため、残り枚数を意識してプレイングを組み立てることが大事になってきます。逆に言えば、ポケセンが使えてかつ相手の呼び出し札がないとわかっている場面では、前述の観点から無理に山札を引きにいかずにじっと我慢するプレイングも有力な選択肢になります。
 
 

ベトベトン

「グドラべトン」たる所以。殿堂が重いわりにまったく需要のない対戦もあるうえ、バトル場に呼ばれてロックされたり拠点にされたりといった弱点がありますが、間違いなくパワーカードです。
 
まず第一に受けに強くなります。この観点で、具体的には以下3つが挙がるでしょう。
①特殊能力で加速する攻撃を遅らせる
攻撃機会以外の打点(わるいクロバットラインなど)をなくす
③攻撃のサポートとなる動き(にげるサポート、えんかくさいみんなど)をつぶす
 
このように、多くの攻めの選択肢を減らすことができます。そしてこれにより、相手の出してくる打点、倒されるまでのターン数が読みやすくなり、ポケセンの使用をベストなタイミングまで引き延ばすことが可能になります。相手の選択肢が減ることで、先の展開まで計算しやすい状況にできる、これがベトベトンのもたらす”受け”の強さと言っていいでしょう。
 
 

リサイクルエネルギー

最近までグドラべトンの構築に入れていませんでしたが、「受けが手得につながる」ことに気づいて以降は必須のカードだと考えています。

 

元々は、「グドラは1エネ起動だからポケセンでエネがトラッシュされようとエネ管理はプレイングでどうにかできる」と考えていました。実際なんとかなります。しかし、このカードを採用すべき真の理由は、「グドラを逃がすためのエネが常に手元にほしいから」です*1

 

先述のように受けで手得をするためには、すぐに手負いのポケモンポケセンを使うのではなく、逃がしながら戦線を維持してポケセンのタイミングをはかることがカギになってきます。リサイクルエネルギーは逃げエネで切ってもポケセンで飛んでも手札に戻るため、このような動きを最大限に助けます。中終盤にエネだけのために山を掘るリスクを回避できるのも大きな効果で、さすがにここまでプレイングだけでカバーできないでしょう。また、常に手札に回収できることで、プレイングの幅を広く持てることも魅力です。

 

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逃がしてすぐリサイクルエネルギーを再利用できるのが強い
 
 
 

「縹グドラべトン」について

縹グドラべトンのコンセプト(振り返り)

ここまでグドラべトンの強さをあらためて振り返ってきましたが、「グドラべトンのどこを補強すべきか」にフォーカスしてつくったのが縹グドラべトンでした。

m-pcgclassic.hatenablog.jp

 

このデッキについては上記記事でくわしく解説していますが、要点だけ簡単にまとめます。 

 

まず大事にしたのは、グドラべトン本来の強さを損なわない構築にすること。よって、強力な回復カードであるポケモンセンターや、長期戦を戦う上で欠かせない夜の廃品回収を厚めに積むなど、グドラべトンでは定番のラインナップが多めになっています。 しかし、この構築段階では「受けが手得につながる」という発想はなく、リサイクルエネルギーは不採用でした。

 

この中で求めた特色は、グドラべトンの弱みである序盤に強い動きができ、中終盤にもアクセントをつくることでした。カスミのゴルダックラインは2ターンでHP50を倒すねらいを持っており、中終盤にもグドラにない打点で活躍機会が見込めます。また、ハナダシティジムで逃げゼロになること、「エクストラビーム」のエネ全トラのリスクはグドラの低コストがカバーすることが使いやすさを助長しています。

 

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2020/11/28 SMB本戦使用時

 

 

縹グドラべトンの実際

まず、当初のコンセプトはおおむねうまくいきました。先攻であればカスミのコダック→カスミのゴルダック+突風でテンポをとり、そのまま押し切ってしまうこともしばしば。

後攻だとカスミのコダックで殴る選択肢を取りづらいことが多くありましたが、別に通常のグドラべトンの進行をたどっても不満はなく、カスミのゴルダックは中終盤でも見事に活躍してくれました。

 

そして使っていくうちに、先述のようなグドラべトンの強さが見えてきたわけです。それに気づくヒントとなり、また知らないうちにその強さを強化していたのがカスミのゴルダックでした。

HP70の壁、軽い逃げ。アタッカーとしてバトル場で威張り、手負いになったらベンチに下がってポケセンを待つ動きは、アタッカーではないシードラにはできません。手負いでも、エネを貼っておけば死に出しで40点出せるのも心強い。

仮にベンチに引っ込んだカスミのゴルダックが呼ばれて落とされたとしても、こちらはグドラへの攻撃が1回減るので必ずしも悪い展開ではありません。

さらにこのデッキにはベトベトンというHP70の壁があり、HP50のたねポケモンタッツー、カスミのコダック)も場合によっては壁となりえます。

 

ただ一方で、ベトベトンが時間稼ぎに狙われやすいなど、グドラべトンのもつ弱みの多くは依然として抱えたままでした。これについて、2020年環境を分析しつつ、勝つのが難しいデッキを挙げながら次節で解説します。

 

 

2020年環境とグドラべトンの苦手デッキ

逆指名4投型

2020年の旧裏は、殿堂を問わず複数積まれた逆指名が威力を発揮する環境でした。なかでも、2ターン目から50点前後を出しに行く速攻デッキや、わるいクロバットラインをからめて打点を増すデッキ、トレーナーロックから入って優位性を拡大しにいくデッキなどは、逆指名を4投しやすい逃げゼロメインの構築で猛威を振るっていた印象があります。元々グドラべトンに強いとされているスライも時々見られました。

 

こういった逆指名4枚を効果的に使うことを前提に組まれているデッキ相手では、サイド4枚が逆指名で脅かされることを念頭に置いて戦う必要があります。特に特殊能力にあまり頼らない相手(エネエネにはべトンが間に合いにくい)に対しては、のんびり受けているようではリソースが十分にあっても逆転までサイドレースが間に合いません

耐久面においても、ベンチに下げた手負いのポケモンが狙われやすいため、ポケセンを早撃ちせざるをえない状況が多くなってしまいます。その状況で、毎ターングドラ確2打点(50点以上)を出されては戦線がもたないため、相手の完成盤面をなるべく維持させないようなプレイングが必要になります。

縹グドラべトンなら、カスミのゴルダックで序盤から圧力をかけて主導権を握りにいく展開も目指せます。ただ、先攻をとられると苦しいこと、相手と比べて序盤に強いカードや攻撃を意識したカードが多くないことから、理想盤面の実現可能性は相手よりだいぶ低いです。 

 

逆指名4投の相手に対しての戦い方は、なるべく無駄に逆指名を使わせること。もちろん無駄に落ちないように組まれていたり、リサイクルが多く積まれていたりするわけですが、ここに尽きると思います。使われても、サイドに直結しない使われ方(べトンを時間稼ぎに呼ぶなど)なら上出来と考えましょう。
 
 

超耐久型(くすぐりギミック積み)

くすぐりマシーン+にせオーキドはかせの「くすぐりギミック」が入りやすい環境では、グドラべトンは「耐久型」には区分しにくいでしょう。最初からLOの勝ち筋も視野に入れているデッキに対しては、グドラべトンは耐久戦でジリ貧です。あえて型に分類するなら「カウンター型」でしょうか。

 

2020年は新殿堂環境で「鋼ラッキー」の活躍が多く見られました。また、ハガネールも、炎などの苦手相手以外では強いことが時折示されていたようにも思います。

こうした鋼エネで要塞化する相手に対しては、「だくりゅう」の打点が雀の涙ほどにしかならないため、「たつまき」の上振れを狙うしかありません。しかし、ポケセンが使いにくくなるうえ、狙いが見え見えになるため、かなり勝ちにくいと言っていいでしょう。

縹グドラべトンなら、カスミのゴルダックの「スーパーデストロイ」でエネをはがす選択肢も持てますが、これも結局コイン次第です。

 

また、要塞化されないまでも、HPの多いたねポケモンが多いとサイド6枚奪取が果てしなく遠いです。もたもたしてるとくすぐりギミック圏内に入ってしまいますが、急いだとしても有利な展開に持ち込みにくく、2020年環境で最も苦手な部類と言っていいでしょう。

 

 

高HPたね+回収入り

これは超耐久型以外にも採用が見られるので別項での解説です。ポケモン回収が使いやすい環境ではこの組み合わせが強力で、これもグドラべトン同様「相手の攻撃機会を結果的に減らせる」戦術なのです。

 

他のデッキの主戦より弱い火力で戦うグドラべトンがサイドレースで勝つうえで、ポケセンをはじめとしたサポート札で生まれる「相対的な攻撃機会の増加」が生命線となることは先述の通りです。度合いは劣るとはいえ、相手にも同様のことをやられてしまってはこちらの攻撃機会が足りなくなってしまいます。

 

また、こうした壁+回収のデッキでは、前述の超耐久要塞や、高打点の重量級エースを育てる狙いがあることが多いです。前者については前項で解説した通りですが、後者についても、グドラをワンパンできるようなカードが出てくるようならかなり苦しいでしょう。

 

 

呼び出し+特訓ジム入り

グドラべトンの最も大きな弱点の一つが、べトンが呼ばれて縛られやすいことでしょう。ヤミカラスロックは言うまでもないですが、単にバトル場に呼ばれるだけでもテンポロスになることが多いです。突風や逆指名なら”使わせた”ともとれるので悪くはないですが、拡張ピッピやタケシのマンキーの技で呼ばれ続けるのはかなり苦しい展開です。

それを嫌ってべトンを出さない選択はもちろん賢明なのですが、エリウツデッキなどではべトンを出したあとにピッピを出されて痛い目を見ることがあります。相手のデッキ構成を予想したうえで「べトンをいま出すべきか」考えるというプレイングの問題に回収されそうですが、要注意ポケモンとして挙げておきたいと思います。

 

また、逆指名が猛威を振るう環境で採用が増えたのがロケット団の特訓ジムで、グドラべトンもこの影響を被ってしまうことになりました。呼び出されたべトンを、3エネも切って逃がすかどうか。入れ替え札を今使ってよいのかどうか(後々のヤミカラスのリスク)。かなり難しい判断を迫られると思います。ただ、見られたのは多くて2枚採用だったので、こちらもスタジアムを2枚採用すれば少しは対策できるかもしれません。

 

なお、少し本題からそれますが、呼ばれたべトンが拠点にされるという意味では、ファンクラブポリゴンも忘れてはいけない要注意カードです。「ハイパーテクスチャー」でグドラのタイプが変えられてしまうと抵抗力(ー30点)で技が通らないようになるうえ、HP50なのでグドラでワンパンしにくい相手になります。

カスミのゴルダックならプラパ1枚でワンパン圏内にできますが、ちょうどよくそうさせてくれる盤面にはなっていないはずなので、やはり難しさは残ります。

 

 

その他環境カードに対して

上記以外にも難しい相手はいますが、上記はグドラべトンの強さが歪まない範囲ではこれ以上対策のしようがないデッキだと考えています。

 

2020年はコダックやゴースといった序盤のトレーナーロックも猛威を振るいましたが、先攻ロックを決められてしまってはどのデッキも苦しいので、特に苦手というわけではないと思います。むしろ、ベイビィのほかに麻痺のまけるベトベターもいるので、最低限の対策にはなっているはずです。あまりに多いようならえんまくタッツーの採用も検討するかもしれません。

ハンデスに関しては、耐久札があるぶん他よりマシでしょうか。先1ミニスカなどはどのデッキでも回避するすべがないので考えないことにします(先1ミニスカおたけびは犯罪)。

 
また、呼び出し札が多くなくても、グドラ確2の中打点を連打してくるデッキ(ドンファンなど)は展開上かなり苦しい相手ですが、くすぐりギミックがなければ粘り勝ちの可能性を見出せるでしょう。
90点以上でグドラをワンパンできるデッキは注意しておきたいところですが、前述のようなサポートがないものであればだいたい炎なので(カツウィンやマグカルゴ)、カスミのゴルダックで弱点を突いてほぼワンパンできます。攻撃で先手をとれるようなプレイングを目指せば難しくないと思います。オーダイル(ワニカメ)に関しては、先攻ならべトンが間に合いますし、後攻でも回復カードが入っていなければチャンスはあるでしょう*2
 
 
 

デッキ改善の検討

 

逆風の環境ながらチャンスあり

逆指名環境だけでも苦しいのに、そのメタカードである特訓ジムも刺さり、鋼ラッキーもキツい――グドラべトンにはかなり逆風の環境と言えます。一方で、特殊能力をメインギミックに組み込んでいるデッキにはやはり強く、また多少の苦手対面でも中盤まで持ち込めれば十分に勝負になるため、Tier1(環境トップ)には入らなくても常に意識されるデッキであることに変わりはないでしょう。
 
その中で、2020年環境に対抗するというより、うまく取り入れていたのが「グドラべトンLO」でした。くすぐりギミックを積んでLOの選択肢をつくりつつ、こちらからトレーナーロックを仕掛けようというこわがらせるゴースの採用。ポルターガイストゴーストはもちろんトレーナーロックと好相性ですし、大暴走軸のデッキにプレッシャーをかけられます。くすぐりギミックはラインが細く、あわよくばという採用でしょう。ドロソも工夫されてはいますが、それでも事故のもとが増えるのでプレイングの難しさは増す印象があります。 
 
さて、環境の逆風よりも残念なのは、すでにポケセンに1点の殿堂がついていた杉並殿堂で、2021改訂ベトベトンに7点(2020年は5点)の重い殿堂が課せられてしまったこと。これではここまでくどくど述べてきた、グドラべトンの強さを成立させるパーツがさっぱり積めなくなってしまいます。本来中盤までもっていって初めて勝負にできるグドラべトンが、序盤勝負に比重が傾いた環境でここまで使いにくくなってしまうのは厳しいと言わざるを得ません。
ただ一方で、それでもグドラが研究され、べトン以外の新たな相棒が見つかることには少し期待したいと思います。
 
 

べトン不要論について:ピチューは代用になるか

ベトベトンは相手によってはまったく活躍せず、場に出せばよく標的にされるため、重い殿堂に見合う活躍をしているかどうかは測りがたいものです。その中でよく話題に上るのが、より軽い殿堂でのべトンの代替です。
 
べトンは先述のように守りには大きく働きますが、攻めに関してはあまり寄与しません。確かに、ミュウ(ニュートラルシールド)やバリヤードの特殊能力が消せるのは、こちらの攻撃機会が減りにくくテンポがいいです。しかしべトン入りなら相手が出さないでしょうし、ほかにめぼしいターゲットがいません。そこで、特に攻めを意識したときに、ピチューのほうが活躍しやすくお得なのでは、という話になります。
 
結論から言うと、ピチューは代用にはならず、べトンが防いでいた相手の攻めをどうするかを構築段階で意識しないと失敗します。
ピチューでは特殊能力を牽制できてもシャットアウトはできません。相手の特殊能力が働き続ける中で、どのように攻めを凌ぎ、先にサイドを取り切るプランを立てられるかがポイントになってきます。ピチューは全体の守りを向上させる札にはなりませんし、攻め札としても早くはなく耐久も運次第です。そのため、ピチューを採用する場合でもピチュー以外で埋め合わせをする必要が出てきてしまうのです。
 
受けの観点でいえば、やはりべトンのパワーは代えがたい大きさがあります。部分的には「アレルギーほうし」のパラセクトなどが考えられ、オーダイルなどにはこちらのほうが刺さりますが、これまでべトンの存在で考えなくてよかったわるラフやプテラへの対抗札はまた別に必要になってきてしまいます。ピチューで3回パチパチを撃つ余裕はそうそうもらえません。また、モクモクブビィも同様ですが、1ターン1回の攻撃機会を使って特殊能力を抑制しようとするのは、継続的なサポートが必要なグドラにおいては限界を感じます。
 
攻めについては、グドラはそもそも低打点と2進化の遅さから親和性が低いカードです。攻めを意識したデッキ相手に後れを取りやすく、単純なサイドレースを意識して攻め札を考えていくと、かえってグドララインが不要ということになってしまいかねません。そこで、攻めについては単純な殴り合いにならない搦め手を意識して検討するのがよいと思います。
 
その意味で、2020年にインパクトがあったのが錯乱グドラでした。殿堂4点の錯乱ジムで相手の動きを抑制し、スタジアムの支配権を握ってうまくかわしながら我慢比べで勝つデッキです。ゴースのトレーナーロックやヤミカラスロックの狙いもあります。ただし、錯乱ジムはロックではなく抑制なので、相手の出方やコインの出目を計算しにくい部分に受けの難しさがあります。 
 
さて、長々と検討を続けてきましたが、べトンの効能を「デッキ全体の受けを強くする」ととらえるならば、これに代わる札はそうそうないはずです。ただ、デッキパワーの観点から考えるなら、べトンに代わる札がグドラと高い親和性を発揮する可能性はまだ残されていると思います。今回は「べトンの代替」という発想で検討を進めましたが、おそらく「いかにグドラの特徴を支え、強化するか」といった発想から検討していったほうが探しやすいでしょう。
 
 

以上を踏まえて縹グドラの改案

in

1 リサイクルエネルギー★★
2 ポケモンぎゃくしめい★★
out
2 突風★★★★
1 基本水エネルギー
(★は新殿堂の殿堂ポイント)

 

 

前述のように、確かに環境は逆風ではありますが、「この戦型でまだまだ勝負になる」というのが私の結論です。

 

縹グドラべトンでは、2枚の突風が要所で働き、序盤のリードや終盤の巻き返しに寄与していました。しかし、リサイクルエネルギーの採用*3で突風が1枚になってしまうと、どうしても反発力に乏しく、カウンターが間に合わない傾向がありました。そこで、より殿堂が軽く、トレンドでもある逆指名の採用を検討しました。

逃げの重いべトンがいるデッキでの採用は意外に感じるかもしれませんが、べトン以外はバトル場に呼ばれてもあまり困りません。グドラは1エネで動けますし。

 

もちろん使うタイミングは突風より限定されますが、以下のように相手の手に乗って使うことを想定しています。

①べトンがバトル場に呼ばれたとき、べトンを逃がしつつ標的を呼ぶ
②きぜつの際、あえてべトンを前にして標的を呼ぶ

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べトンが前なら逆指名が使いやすい状況が多い
 
べトンが呼ばれやすい弱みを逆手にとり、呼ばれたことをメリットにしてやろうという狙いがあります。多少の使いづらさはありますが、もともと我慢してタイミングをうかがうデッキでもあるので、事故のもとにならないようにだけ気をつければ大丈夫でしょう。
 
また、カスミのコダックで1ターン目から攻勢に出た場合、3ターン目までは逆指名を使っても逃げ1で済む(まだグドラがいない)ことが多いため、序盤はわりと能動的に使えます。なお、このタイミングでハナダシティジムを引けると逃げゼロになって強く、特訓ジムが増えるのも見越して2枚目の採用を検討したいところですが、今回は枠を見つけられずに見送っています。
 
 
 

おわりに

どんなゲームでも、ある程度プレイしていくと、自分の得意型が見つかっていくと思います。旧裏は一度流れをつかまれると一方的になりやすいゲームですが、その中でも我慢し続けるとチャンスがあるグドラべトンは私に好相性の型だと感じ、2020年は意識して使い続けていました。
 
昔からたくさんの人が研究している構築であるため、どうしても字数を費やしてしまいましたが、少しでもグドラべトンの強さと奥深さが伝われば幸いです。
 
気づけば補論が本論の倍の分量になってしまいました。これで縹グドラべトン補論を終わります。
 
 

*1:リサイクルエネルギーとグドラの逃げについてはほえらさんから示唆をいただきました。

*2:見かけたことはありませんが、ワニカメにいいきずぐすりピン差しは強いと思います。

*3:基本的なメリットは前述の通りですが、カスミのゴルダックのエネトラッシュリスクにも相性がいいです。