旧裏レポパ

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ポケカ旧裏用ブログ

デッキレシピ:マルスライ

旧裏の古典「スライ」を最近の環境に合わせてアレンジしてみました。
従来のスライとは少し考え方も異なります。

 

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マルスライ

  

 

 

デッキレシピ

4 ピカチュウ(プロモ、じゅうでん)
3 ライチュウ(neo3)
3 ビリリダマ(R団)
1 ビリリダマ(拡張シート赤)
2 マルマイン(第一弾)☆☆☆☆/★★★★
1 わるいマルマイン
1 ドードー(第一弾)
1 ドードリオ(ジャングル)
1 R団のストライク

 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
4 マサキ
1 カスミの勝負
1 礼儀作法
3 ポケモン交換おじさん

 
3 夜の廃品回収
4 プラスパワー
4 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆☆☆☆☆☆/★★★★
1 抵抗力低下ジム

 

10 雷エネルギー

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杉並殿堂2021☆:12/8
新殿堂   ★:8/8
高槻殿堂 NG(2022/02/24)

 

 

スタンダードなスライについて

スライは、旧裏当時に強力だったキングドラデッキの対策デッキとして開発されたもののようです。経緯は下記のブログにくわしいので、この記事では割愛します。

000708.blog.fc2.com

 

基本的にピカチュウの「じゅうでん」で最初にエネ加速を行い、2ターン目からライチュウの「らいげき」で40or80点を出していく戦い方。そこに、「らいげき」のトラッシュコストを補うためのマルマイン「エネエネ」が入ってきます。プラパもからめて50点90点を容易に出せるようにし、逆指名で相手の急所を突いていくことで、テンポよくサイドを取り切ることができるのがスライの強いところです。

 

逆に、良くも悪くも一直線の戦いになりやすいので、上記の強みを生かして先行逃げ切りを通せないと勝ちにくくなるデッキでもあります。

 

近年の環境では、スタンダードなものをアレンジした下記の型が主に使われています。

●R団のストライク入り・・・少なくとも2016年から使用されていた定番。ドンファンやわるいバンギラスなどの雷抵抗持ちデッキに対して活路を見出せる。
ウソッキー(PF2)入り・・・ユミルテミルさん考案。鋼ラッキーやスライミラーに強い。

 

 

従来のスライの弱み

そもそもがグドラ対策のデッキなので、現在でも対グドラデッキの急先鋒に位置付けられます。しかし、弱みも多く抱えているため、あまり活躍の機会が得られていないのが実情です。主なものを以下に挙げます。

 

①メインアタッカー(ライチュウ)の限界

まず、相手にサイドを献上してでもテンポよくサイドをとっていく戦略上、雷抵抗持ちが中心のデッキや、鋼エネ入りやHP90以上のポケモンが多い高耐久デッキが厳しい相手になります。

具体的にはドンファン、わるいバンギラス、鋼ラッキー、UDONあたりです。やりようがなくはないですが、エネエネを使わないとエネが追いつかず、使ったらライチュウ1体につき2枚のサイド取得が必須、といった戦いになるのは苦しいです。

 

②挽回手段の少なさ

②は上記とつながります。アタッカーがほとんどライチュウで、エネなしから1ターンでらいげき起動までいくにはマルマインが必須。相手に読まれやすいうえ、劣勢でさらにサイドを献上しなければならないのは厳しい。

さらに、せっかくライチュウが立っても、局面を打開する前に倒されてしまうという場合が多いです。相手が誤ってエネを一体に集中させたりしなければ(意外とあるけど)逆転の糸口を見つけるのは難しい。

 

③展開上の事故の多さ

プラパ、逆指名、まきベトといった、タイミングが限定的なカードが入りやすく、また交換おじさんでたねを展開する形で手札を消費してしまうため、事故が起こりやすい部類の構築です。

この中で、1ターン目の理想形である「ピカチュウにエネを貼ってじゅうでん」を実現させられる確率は案外高くありません。これができないと2ターン目からのらいげきがエネエネ要求になってしまうため、盤面の強さに大きな差が生まれてしまいます。

 

④後攻での脆弱性

③で1ターン目の理想形がそれほど容易ではないことを述べましたが、理想形ができたとしても、後攻では流行のデッキに対して弱い対面になることが多いです。

たとえばロック。この場合は先攻1ターン目でもトレーナーロックされているでしょうから、後攻2ターン目でコダックorゴースを10まんボルトで倒せたとしても場にエネが残らず、展開の差が顕著です。

次にわるクロ。先攻2ターン目でわるいゴルバットとプラパをからめてピカチュウが落とされる光景は容易に想像できるでしょう。その他2ターン目から50点を出してくるデッキも同様で、せっかくじゅうでんをしても手損(攻撃機会を一回無駄にした)になってしまうのでは弱いです。

 

 

基本的な動き方

初手スピードボール~エナジーボムを目指す

前項の①④を踏まえて、このデッキで目指す初手は、ビリリダマスピードボール20点で殴ることです。わるいマルマインを採用することで、2ターン目のエナジーボム30点と合わせて、HP50+αの相手をきぜつさせることを狙います。

もちろん相手によってはじゅうでんの方が効果的なこともありますが、スピードボールで先1ロックや、後述する環境デッキへ圧力をかけられるのは優秀です。

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雷弱点相手ではワンキルの可能性も

 

 

ライチュウを無傷で起動させるねらい

わるいマルマインの採用理由は、20点+30点を狙うためだけではありません。前項の弱み①で述べた、ライチュウの限界をカバーする役割があります。

まずは、序盤にピカチュウを出さないことで、ライチュウにダメカンが蓄積しにくくなります。回復札が入りにくいスライでは、序盤の小兵のダメカンの受け皿となってくれる存在は非常にありがたいです。

次に、エナジーボムによって素点で30点を出せるようになること。エネがなければ「エネエネ」でわるいマルマインにつけて、エナジーボムでベンチのライチュウに飛ばすといったこともできます。これは中盤以降の挽回策としても有効です。

なお、わるいマルマインはHP60ですが、エネを放出してから倒されるなら痛くありません(ライチュウに傷がつくよりよっぽどマシ)。また、ドードリオや逆指名のおかげでバトル場に立ち往生しにくく、このデッキにおいては立てた後も邪魔になりません。

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相手に30点与えた状態で無傷のライチュウを出す狙い

 

 

サイドプランと挽回手段

スライはテンポよくサイドをとりきるのが肝なので、一応のサイドプランは意識します。前後はしますが、楽に勝つときはだいたい下記のパターンです。

1枚目:スピードボール+エナジーボム(+プラパ)
2枚目:らいげき(+プラパ)
3枚目:らいげき全トラッシュ
4枚目:エネエネ+らいげき(+プラパ)
5枚目:らいげき(+プラパ)
6枚目:らいげき全トラッシュ

 

スライは脆いデッキです。上記の理想プランではエネエネ1回、ライチュウ1没でサイドを2枚とられるイメージですが、そうなると劣勢になったときに相手に許せるサイド取得は3枚までです。だいたいエネエネは2回使うことになるので…と考え始めるともっと少なくなります。そこで、劣勢のときに考えたいのは、現局面の打開のために何枚サイドをあげて大丈夫かということです。

たとえば、メインアタッカーであるライチュウにさえダメージが入らなければ、マルマインたちを壁にして待つプレイングもアリです。それでは間に合わない、と思われる場合は、ほしいカードを引くためにどれだけのリソースを犠牲にしてもよいか、を考えます。スライはプラパや逆指名といった、サイドをテンポよくとるためのサポートカードありきなので、この枚数をどこまで絞っても勝ちきれるかの計算が大事です。

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エナジーボム先のライチュウが落とされた盤面。ここでエネエネ+エナジーボムで再び次ターンのライチュウ起動を狙う場合、どのカードでサイドを献上する計算がよいか?

 

 

スライが現環境で刺さるわけ

キングドラ

先述の通り、対キングドラのために生まれたデッキなので説明は不要かもしれません。現在でもグドラ側に有効なスライ対策はありません。しいていえば、ゴースやコダックを入れて先1ロックを仕掛けるくらいでしょうか。

新殿堂では他の殿堂と異なり、グドラの主要パーツの殿堂ポイントが軽いため、強力なグドラデッキが組みやすい環境です。自然と使用される頻度も上がるため、スライが刺さりやすいと考えました。

 

対わるいオニドリル

実はグドラよりも意識していたのはこちら。2019年のSMB本戦で人生あまくんがわるオニ単で優勝し、その後わるクロと組み合わせたマコマートさんのデッキが随所で猛威を振るっていました。

個人的に、わるいオニドリル2エネ40点を出せるカードたちが再注目されるきっかけとなったカードだと考えており、ひととおり2エネ40点カードを試し終わった後に使う人が増えると踏んでいました。

わるいオニドリルは逆指名と相性がよく、強引な突破力が持ち味。うまく回されると勝つのはかなり難しい相手ですが、雷弱点にスライが刺さります。HP50のオニスズメはスピードボール+プラパで一撃。ロケット団のアジトでHP80になるわるいオニドリルも、らいげきトラッシュなしで一撃です。一方ライチュウは「ドリルダイブ」で確2なので、後続を絶やさないようにだけ留意すれば問題ありません。

 

対トレーナーロック

スタンダードなスライでは、後攻をとったときにトレーナーロックが苦しいと先述しました。しかし、ビリリダマスタートできれば、2ターンでバトル場のロックを解除できるうえ、先攻をとれればむしろこちらが圧力をかけられます。

先1ロックはこれでもやはり厳しい相手で、「刺さる」とまではいえないでしょう。特にわるクロ相手だと先2から追加打点も飛んでくるので、メインアタッカーを倒し続けるだけではライチュウが持ちません。ただ、本格的にコダック、ゴースのトレーナーロックを対策するとなると、ベイビィスタートを目標にすることになるので、このデッキではこれくらいで十分だと思います。

 

 

採用検討

まきちらせ!ベトベトガス

スタンダードなスライでよく見かけるカードで、プテラベトベトンなどのロック対策、メガニウムバリヤードなどの機能停止を目的としています。

今回採用しなかったのは、事故率を少しでも減らす目的もありますが、一番は結局スライは尖らせないと弱いと考えたからです。環境にいなさそうな苦手対面の対策は潔くあきらめて、コンセプトの強化を重視しました。

 

やさしいサンダース

後述の予選使用デッキでは1-1で採用。元々使っていたスライで、事故率と耐久性の低さが気になっていたため、デッキ圧縮兼時間稼ぎとして入れていました。

動きとしてはなかなかおもしろいのですが、そもそもスライは持久戦が得意でないため、このカードを使ってもジリ貧になることが多いです。この役割は、先述したユミルテミルさんがミュウ(ニュートラルシールド)に担わせており、このデッキでもヤミカラスの餌食にさえならなければ有効なカードだと思います。

 

ナツメの眼

リソースをなるべく切りたくないこのデッキにおいて、ハンドリフレッシュできるナツメの眼は有用です。しかし、ナツメの眼は手札が増えない(むしろ一枚減る)うえ、用途が限定されたカードの多いこのデッキでは、かえって事故の誘因になってしまうこともあります。

そこで、カスミの勝負を採用しました。安定はしませんが、相手のハンデスを狙うこともできるので、使っていておもしろいカードです。ドロソ枠としての採用ではないため、ここはナツメのサイキックコントロールでもアリだと思います。

 

 

使用感

 

3戦中2戦でわるオニデッキ(うっどさん、マコマートさん)に当たり、いずれも勝利。2戦目のメガバナでは惜しくも敗れてしまいましたが、運よくオポ差で2位、本選進出です。参加者10人前後で3名がわるオニデッキで、あまりに読みが的中して驚きました。多少展開が悪くてもやはり弱点は大きく、無難な勝ち方ができたので、対策デッキとしてもってきた甲斐があります。

 

人生あまくんのメガバナとの対戦は、メガニウム+サカキのニドキング(HP120)で場を制圧されながらも、メガニウムを2度落としてなんとか食らいつく好ゲーム。最後、制限時間ギリギリでサイド同数に追いつき、あとはHP40のチコリータライチュウのでんきショック×2で落とすだけ……となったのですが、ここでまさかのリフレクター×2。ぎりぎりを凌がれ、その後突風でサイド1枚差をつけられたのでした。

 

 

おわりに

わるいマルマインでエネをひかるライチュウに飛ばしたら強いんじゃ??という発想から始まり、最終的にスライのマイナーチェンジに落ち着きました。ひかるライチュウに飛ばすのもまあまあ強いかもですが、真スライに比べるとちょっと……。サンダーとかに飛ばしてみたりもしましたが、今のところスライがベストフィットです。

デッキ名は語呂がいいのでマルスライとしました。マル(mal)はフランス語で悪という意味だそうです。

 

わるいマルマインの1エネ10点はそのドヤ顔にそぐわない、誠に残念な打点ですが、ドードリオがいること、エネエネしてエナジーボムが無理なくできることでその点をさほど嘆かずに済みました。なかなか粋なカードだと思いますので、皆さんもぜひ可愛がってみてください。