旧裏の古典のひとつ「カツウィンバクフ」。
近年ではあまり見かけませんが、上振れ時の強さは折り紙付きです。
基本構築がそもそも欲張りで、アレンジの余白はあまりなさそうですが、新たな発見を求めて作ってみました。
デッキレシピ
3 カツラのガーディ(カツラ)
3 カツラのウィンディ(ジム拡張2)
2 ヒノアラシ(neo4)
1 ヒノアラシ(イントロneo)
3 マグマラシ(neo1)
2 バクフーン(neo1)★★
1 ファイヤー(プロモ)
1 ピチュー(イントロ)
4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
4 マサキ
1 礼儀作法
3 ポケモン交換おじさん
1 パソコン通信★★
2 突風★★★★
1 ポケモンいれかえ
2 ディフェンダー
1 思い出させる
1 ポケモン育て屋さん
1 カツラ
2 夜の廃品回収
1 グレンタウンジム
12 炎エネルギー
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新殿堂 ★:8/8
カツウィンバクフについて
今でも閲覧できる新殿堂のカツウィンバクフの典型デッキは、2017年のスイカさんのブログくらいかと思います。正直、こんなに少ないとは思っていませんでした(※名古屋殿堂の構築は2023年にあり)。
このサンプルデッキではカツウィンライン4-3、バクフーンライン4-3-3と、メインポケモンを厚めに採用しています。
近年でカツウィンバクフが使われなくなった背景としては、カツウィンとバクフーン、それぞれ単体で使うデッキの強さが周知されてきたことが一因としてあるように思います。
なかでも白眉は人生あまくんの「カツウィン単」。
この割り切った構築は、2020年の登場当初多くのプレイヤーが参考にし、大会でもよく見かけました。かなり大きなインパクトがあったと感じており、同時に、「カツウィン単+何か」を模索するプレイヤーもいたと記憶しています(私も刺激を受けてカツウィンの亜種?を作りました)。
しかし結局、いまだ「カツウィン単」が最有力なままだと思います(2024年11月現在)。
バクフーン単体ではほえらさんの2020年の構築などでしょうか。もともとリムーブ多用デッキ対策として作成されましたが、汎用性は十分。2種のバクフーンを用いており、バクフーンのみでも強く戦えることを示しています。
こうした有力な「単」デッキが存在感を示す中で、今あらためてカツウィンバクフを作るなら?
――回答になっているかは微妙ですが、この問いのもとにデッキを組んでみました。
アレンジの方針
①安定路線はとらず上振れを期待する
カツウィンバクフはそういうものだと思うので。
中途半端に安定路線をとろうとしても弱くなるだけと判断しました。
上振れ時の強さで、逆転の目を持ち続けるデッキを目指します。
②バクフーン×3★★★を再考する
先述のカツウィンバクフのサンプルデッキでは、バクフーンが3枚採用されていました。
バクフーン(neo1)の「ファイヤーリチャージ」はコインで表ならトラッシュから炎エネルギーを炎ポケモンに着けられる能力。重複可能なので、バクフーンが立てば立つほど強いわけです。しかし、2進化は3枚入れれば3体立つわけではなく、「2体立てたいから3枚入れる」という発想なのだと思います。
しかし、今回検討する新殿堂において、私が入れたいカードは偶数ポイントのものばかりでした(突風とパソ通)。いずれも価値が高い札と考え、「バクフーン一体でも戦う覚悟でパソ通を入れる」という判断をしました。
カツウィンバクフはそもそもパーツが多く、ドロソやサーチをケチるとすぐに事故ります。「事故ターンを減らせるならバクフーン1体でも十分」という思いでバクフーンを削りました。
同時に、各ラインのたねも4体ではなく3体にしました。
そのぶんパソ通を生かしてピン差しのカードの活躍に期待します。
③バクカルとの差別化を意識する
殿堂
これは前項とつながります。
同じ1進化をバクフーンの相棒とするバクカルは、マグカルゴにも殿堂がついており、突風やパソ通を入れにくくなります。まずはそこで差別化。
水対策
次は弱点である水対策。
カツウィンは「グレンタウンジム」で弱点対策ができますが、それだけでは弱いうえ、弱点対策のために2枚入れるのはデッキパワーを考えるうえでもったいない気がします。
そこで採用したのがファイヤー(プロモ)です。
弱点をもたない逃げ1HP70で、対水デッキで壁になってくれるほか、闘抵抗もあるので確2してくる育った闘ポケを受けることができます。
また、ワザはエネ全トラリスクがあるものの、3エネ60点なので連発できれば脅威になりえます(あと海外版のイラストがかっこいい)。
エネ加速その他
最後に、カツラ。
と言いたいところですが、そもそも枠がかつかつな中で、あまり入れられませんでした。うまく使えれば強いのですが、事故のもとになりがちで、そもそもエネルギー現物すら十分量入れられない中では欲張りすぎと言わざるを得ません。
今回はパソ通を入れるので、1枚だけ採用。本当は2枚入れたいところです(先述のスイカさんのサンプルデッキでも1枚採用でした)。
なお、HP90と見た目は上回っていますが、「ヒートタックル」で10点の自傷があるので、劣後するとすらいえます。その意味でディフェンダー2枚は外せなかった札です。
④されたら嫌なことを考える
バクフーン対策を対策する
相手がカツウィンバクフとわかってとるべき対策として、下記2つがあります。
A:バクフーンの「ファイヤーリチャージ」を封じる(進化の阻止or特殊能力の無効化)
B:ベンチのバクフーンを呼び出して始末or利用する(置物処理)
Aについて、ベトベトガスやマグマラシ狩りが想定されるので、育て屋を入れました。相手のねらいを回避、あるいは虚を突くことが可能です。
Bについては、入れ替え札を増やすのも手ですが、上振れを狙うこのデッキにとっては弱腰です。退化スプレーhyperも汎用性が高いですが、今回はPFバクフーンを採用していないので、退化の隙やタイミングの難しさで使いづらさを感じました。
思い出させて逆用
そこで「思い出させる」を採用し、バクフーンを呼ばれた返しに「えんまく」などで一発かます(かわす)ことを狙います。エネの付き具合によっては、このつなぎによって次のターンで殴り始められるかもしれません。ヒノアラシ(neo4)の採用はそういった意図もあります(育て屋使用時でもえんまくが撃てる)
また、カツウィンとも相性が良く、エネ切れorヒートタックルまでしか打てないカツウィンで「もえあがる」を使い、「ほのおのあらし」の連発を見せる動きも強力です。
基本的な動き方
ガーディスタートならもえあがればいいのですが、問題はヒノアラシスタート。
先攻ならマナカーブに沿ってえんまくを撃っていけば被ダメージも減らしつつ戦線を維持できますが、後攻であれば途中でベンチに下がるのも手です。
序盤はなかなかエネがトラッシュに落ちないことが多く、せっかくバクフーンを立ててもリチャージするエネがない、ということもあるので、逃げエネは惜しまないほうがいいでしょう。
初手「もえあがる」でないと弱い、という見方もできますが、ベンチでカツウィンを育てると、HPフルのカツウィンで殴り始められるメリットもあります。入れ替え札を探しにいってまで「もえあがる」を狙う必要はないと思います。
サイドプランは下記のようなイメージ。
・序盤1体なりゆき
・突風使用の相手メイン撃ち(ほのおのあらし想定)
・その後のヒートタックル2回で1体
・「ほのおのあらし」×3
あと1、2枚をとるのが難しい感覚です。相手の場を枯らして、ヒートタックルでターンをかけて倒せる状況をねらいます。相手の再展開が早く、絶え間ない撃ち合いに持ち込まれると、ヒートタックルでサイドを稼げないので厳しくなってきます。
その意味で、パソ通はテンポよく盤面を整えるほか、相手に余計なターンの猶予を与えないためにも重宝します。
代表的な水デッキに対する動き
対キングドラ
グドラべトンの場合、べトンが処理できないと撃ち負けます。「突風で呼んでほのおのあらし」くらいしか手段がないので、序盤で出てくるとかなり苦しいです。
べトンがいなければ、グドラは打点が低いのでサブ次第では優位にすらなれます。一撃で倒されるリスクが低いので、2ターンかけて用意した「ほのおのあらし」で3ターンかけて立てたグドラを飛ばせるので十分でしょう。
対カメックス
グレンタウンジム下ではカツウィンがハイドロポンプを耐えるので、カメックスを倒し切れれば十分勝機があります。
ピチューをフル活用して20点を刻み込みつつ、ハイドロポンプを素で受けられるファイヤーで60点を撃ち込んでいければ、バクフーンが狙い撃ちされても戦えるでしょう。
新殿堂だとカメックスは4点の殿堂があるのでほぼ見かけませんが、、、
対オーダイル
新殿堂ではほぼワニカメなので、いかにオーダイルを「ほのおのあらし」で仕留めるかがカギです。呼び出し札はあって逆指名1枚なので、ワーポ対策をしつつカツウィンを育てます。
「ぎゃくりゅう」受けはファイヤーでも厳しいので、ピチューの頑張り次第といったところでしょうか。
対カスミウィニー
かなり厳しいので切っています。
弱点対策がそろわない序盤からがんがん高打点を撃ち込んでくるうえ、逆指名も豊富に積んでいるので場の展開が間に合いません。ヒノアラシ(neo4)もワンパンされますが、このデッキを切れば大きな不安はない、という割り切りです。
採用検討
エネルギースタジアム
バクフーンが強いのは「毎ターンの手貼り+α」ができることなので、手貼りが滞るのは損です。
エネは12枚しか入れられておらず、正直なかなか引けないので、エネスタがあるととても心強いです。ただ、エネスタより現物を十分量ほしいと考え不採用に。
エネは当初13枚にしていましたが、上振れ期待札に替えました。使っているとやはり現物のエネがほしくなるので、調整の余地は大いにありそう。
カツラのギャンブル・マサキのメール
ポケモンもエネもドロソも一度にほしいので、ドロソを厚くしたいと思っていました。
カツラのギャンブルはエネをトラッシュに落とせるので相性よしと思いましたが、エネ以外では意外と捨てたいカードがありません。メインポケモンすらしぼっているので・・・
マサキのメールは5枚目のマサキ・オーキド枠ですが、カツラのギャンブルがあるなら検討しようかというくらい。
上振れを狙うならこのへんでチャレンジするのもありですが、今回は総合的にベストと見て無難なドロソにしました。
ポケモン育て屋夫婦
お気に入りカード。進化が多いデッキでは上振れ期待で採用してみたいところですが、今回はたねをしぼっているので、たねももってこれる交換おじさんのほうが有用でした。
枠があれば1枚入れてもよかったですが、ほかに優先すべき札が多すぎます。
使用感
【東北旧裏オフ使用デッキ:カツウィンバクフを思い出せ】戦績2-2
— まくらぎ@旧裏 (@sleeper_pcg) 2024年11月2日
構築として無理がありすぎるのは承知のうえで、上振れ時のデッキパワーを期待。ファイヤーで少し水対策しつつ、アクセント&コンセプトの「思い出させる」。バクフ3-3-2にしては上出来の運びでしたが、やはり運命力が足りません。 pic.twitter.com/DBO2GRamZM
第8回東北旧裏オフで使用しました(当時、マグマラシは1枚だけPF1を使用)。
ベトベトン入りのデッキに当たりましたがやはり苦しく、なんとか勝負どころは作るも、コインが味方してくれませんでした。もう1敗は初手ミニスカで何もできず負け。
その他は、フリー対戦も含め、一度盤面ができれば多少の不利も覆す、豪快なさばきができて楽しかったです。これがこのデッキの醍醐味ですからね。
「思い出させる」もうまく機能して、相手の虚を突けたのでニヤニヤしてました。
おわりに
個人的に、事故要素が少なく、中終盤まで対応力の高いデッキを好む傾向があるので、今回のデッキ選択はチャレンジングでした。私をよく知るプレーヤーには、驚いた人もいたかもしれません。「単」のほうが圧倒的に手になじむ。
しかし、旧裏は負けてなければ何かが起こるゲームなので、細い勝ち筋でも残り続けるようなデッキパワーをもつ本デッキはなかなかロマンのある戦いができました。
本当は大勝ちしてインパクトを残したかったところですが、忘れられかけていたカツウィンバクフを思い出させることができてよかったです。
よかったら作ってみてください。