デッキレシピ:カツラのミュウツーWANT
このミュウツーは遺伝子の組みかえをして、私が作ったポケモンだ。完全体にするために私の細胞を移植している。
そして私の体にも暴走したミュウツーの細胞が入り込んでいる。―――カツラ(『ポケットモンスターSPECIAL 7』,小学館,2000,p.33)
名作「ポケットモンスターSPECIAL」(以下、ポケスぺ)の第1・2章において、脇役ながら強烈な印象を残すのがカツラとミュウツーの関係です。
過去の過ちの落とし前をつけるべくミュウツーを追い求め、命がけで対峙した後はともに生きようとするカツラ。そしてカツラを受け入れ、その意図を汲んで戦うミュウツー。
作中、カツラがミュウツーを「兄弟」と呼んでいることからも(5巻p.187)、ポケモンと人の別を超えた関係性を示しています。上記のようなのっぴきならない事情があるとはいえ、文字通り一心同体で戦う姿は胸を打つものがありました。
今回は、ポケスペ第1・2章におけるカツラとミュウツーの戦いぶりを旧裏で再現すべくデッキを作成しました(第3章以降の内容はふまえていません)。ただのファンデッキにならないよう、初期構想からかなり時間をかけて仕上げたデッキですが、ポケスペ原作を再現する部分も多く入れられたので、原作との関連も含めて書いていこうと思います。
デッキレシピ
3 ミュウツー(プロモ)
1 アンノーンW
1 アンノーンA
1 アンノーンN
1 アンノーンT
2 ゴース(化石)
1 ゴースト(拡張シート緑Lv.26)
1 ゴースト(拡張シート緑Lv.25)
1 コラッタ(R団)
4 オーキドはかせ
4 エリカ
4 マサキ
4 クルミ
1 スパイ作戦
2 カツラのギャンブル
1 カツラの奥の手
3 礼儀作法
1 マスターボール
1 超エネルギーリムーブ☆☆☆☆☆/★★★★
1 ミニスカート☆☆☆☆/★★
1 突風☆☆/★★
1 ワープポイント
1 ポケモンいれかえ
2 ポケモン回収☆☆
2 夜の廃品回収
1 元気のかけら
1 にせオーキドはかせ
1 いいきずぐすり
1 プラスパワー
1 抵抗力低下ジム
10 超エネルギー
ーーーーーーーー
杉並殿堂2021☆:13/8
新殿堂 ★:8/8
デッキ解説
基本的な戦い方
1ターン目から山を掘りまくって盤面をそろえるデッキです。
実現したいことは以下の3つ。
①ミュウツーが「エネルギーきゅうしゅう」を使う
②アンノーンをそろえる
③ミニスカートを使う
先後や相手のデッキにもよりますが、基本的にはこの3点を狙っていきます。
完成盤面ではミュウツーが毎ターン40点を出し、相手にハンデスをかけ、強力なトレーナーを使いまわすため、デッキ相性や相手の引きが災いしない限り大差の盤面で優勢を築くことができます。
最初の礼儀作法ではサイド落ち確認が特に重要で、アンノーンなどどうしてもピックしたいカードが埋まっている場合のみコラッタを出します。ゴースも1体ベンチに出したいので、ここの判断は大きく戦局を左右します。
使いまわすトレーナーは、超リム、突風、ミニスカ、夜廃、抵抗力低下ジム、いいきずぐすり、プラパが主な選択肢ですが、ミニスカ後にドロソを回収する動きも強力です。ちなみに、プラパは最終調整の段階でうっどさんに助言をもらって採用を決めましたが、要所でプラパが使えるのは想像以上に気持ちよく、サイドレースが楽になります。
デッキをまわす際の考え方
これは完成盤面を築くためのドロソ・サーチを多く積んだ、いわゆるソリティアデッキの類です。ソリティアデッキはドローのためにカードをトラッシュすることを厭わないことが多いですが、このデッキは厭わないどころか、喜んでトラッシュします。キーカードでも今不要であればどんどんトラッシュです。
背景にあるのは、
●捨てる効果はメリットである
●トラッシュの方が山札より近い
という考え方です。
まず、カードを捨てるのはデメリット効果と考えられがちですが、「エネルギーきゅうしゅう」のようなトラッシュのエネルギーを活用するカードにとってはメリット。ここまでは周知の事実ですが、このデッキではポケモンやトレーナーもトラッシュに送るのがメリットになります。
アンノーンの「WANT」によるトラッシュのトレーナーピックがわかりやすいでしょう。コイン運に依存するという懸念はありますが、毎ターン50%でトラッシュのトレーナーカードを手札に加えられる――山札から素引きするよりも確率が高いのです。「トラッシュの方が山札より近い」とはこういう意味です。
今使わないカードをクルミで戻してしまうと、また使わないタイミングで引いてしまう場合があります。それなら、よりこのターンにほしいカードを引く確率を高めるよう、ドロソを山に戻しておいたほうが得策な場合があります。もちろん、WANTの成功の下振れや、瓦解してしまうリスクも考えて決める必要がありますが、考え方としてはこのような感じになります。
ポケモンについては、不要なカードをトラッシュできれば礼儀作法が使いやすくなります。ベンチ枠の都合上、不要なたねは出したくないので、捨てるのが第一選択です。手札についてはどうせ捨てるしミニスカを使えば飛ぶので、手札公開のデメリットもあまりありません(ついでにいえばアンノーンTのtellも積極的に使います)。ミュウツーもアンノーンも1枚完結でサーチできる強カードで盤面をどんどん揃えます。
また、ゴースト(おんねん)は終盤まで不要なカードなので、早めにトラッシュに寝かしつけたいところ。ゴースが見えた瞬間に採用がバレるので、下手に隠さず堂々と捨てましょう。
カツラのギャンブルについて
旧裏のカツラ関係のカードは、なぜかやたら運に大きく左右されるカードが多いです。暴走したミュウツーの細胞がカツラに入り込んでいるから??
とはいえ、このデッキの顔でもある「カツラのギャンブル」については、計算しながら運用できるカードだと考えています。なぜならこのカードには、確定で「捨てるメリット」があり、「50%で大量にドローするメリット」もあるからです。決して過大評価ではなく、たとえコインが裏でも、1つのメリットは得るので最低限機能します。ドロソラインがつながらなくなるリスクはありますが、このデッキにはどのみちウツギはかせは入りませんし、スパイ作戦だけでは非力です。
これだけだとドロソとして見劣りしてしまいそうなので、少し具体的に考えてみましょう。
●理想:手札にオーキドがあるケース
→カツラのギャンブルでどのみち捨てるカードをトラッシュ(仮にクルミがあっても先に使う)
→表なら手札増えてOK、裏でもオーキドでOK
●手札にカツラの奥の手があるケース
→カツラの奥の手を残して手札全トラッシュ
→表なら手札増えてOK、裏なら奥の手で手札増+主人公演出
●手札にほかにドロソがないケース
→覚悟を決めてカツラのギャンブル
こういう場面での賭け方が勝負の行方を左右する…こともある。
仮にほかの非はかせカードを採用していたとしてもドローの継続が望み薄の手札であれば、カツラのギャンブルの採用に非はありません。目の前のコインに全力を注ぎましょう。
原作の再現箇所
戦闘の時間制限
離れていられないだけでなく、外に出て戦える制限時間があるのだ。…まあ3分というところだろう。それを超えるとこの体がイカれてしまう、フフフ。
(『ポケットモンスターSPECIAL 7』,小学館,2000,p.34)
ポケスペミュウツーには、戦闘に関して以下の特殊な制約があります。
●ミュウツーはカツラから離れて戦えない
●カツラの都合上長く戦闘ができない
このデッキでは「長く戦闘ができない」という点を「展開を急ぐ」「コストを厭わない」「自分の山札を早期に薄くして戦う」と読みかえて再現しています。カツラのギャンブルやカツラの奥の手が、途端に鬼気迫る、迫力のあるカードに見えてこないでしょうか。
”念力竜巻”
中心部はとりこんだ者をねじ切る万力!周辺部は打ち出された攻撃を、ビリヤードのようにはねかえす防壁!まさに攻防一体の陣。”念力竜巻”!!
(『ポケットモンスターSPECIAL 3』,小学館,1998,p.105)
ポケスペミュウツーのメイン技の1つが、念のエネルギーを用いて起こす竜巻(サイコウェーブ)です。これを再現するのは、まず超エネルギーリムーブ。自らのエネルギーをコストにして、相手の場のどこにでも”竜巻”が襲いかかります。そして突風。超リムが「防」なら、突風は「攻」――とも言い切れないのですが、元ネタ通り2つの特徴をもって再現しています。
もちろん、先述のWANTで使いまわすのに強力な2枚であることはいうまでもありません。
“スプーン”
相手が一匹ならば同じエネルギーをスプーン型の武器に収束させる。奴はその戦闘状況にあわせて自在にエネルギーをあやつることができるのだ。そう、あのスプーンはまさに念(エスパー)の超技!!
(『ポケットモンスターSPECIAL 3』,小学館,1998,p.117)
ポケスペミュウツーのもう1つのメイン技は、念のエネルギーでスプーン状の武器を作り出して戦うこと。このデッキでは、単純に3エネためてからサイコバーンで殴ることでなぞっています。ほら、大きいスプーンで殴ったらたぶん「バーン!」っていうだろうし。……サイコバーンってデメリットなしで連発できるし強いですよね!ね!
”フォーク”
フォークのように形をかえたエネルギー体”スプーン”がワタルのボールに!!―――イエロー
(『ポケットモンスターSPECIAL 7』,小学館,2000,p.37)
原作7巻のワタル戦で、時間のないカツラはワタルの残りのポケモンが入ったボールを破壊しようとします。狙いは後続のポケモンを出させないようにすることで、ミュウツーの”スプーン”をフォークに変形させてワタルの腰にダイレクトアタックをしかけますが……。
かっこいいですよね、フォーク。これは「相手の後続を断つ」と読み替えて、ミニスカートでフォークダンスをしかけます。事前ににせオーキドはかせを出しておくとなお効果的です。
……え?何言ってるかわからない?ですからミニスカを使って相手の腰にダイレクトアタックをですね……
”バリア”
攻撃はまだだ。まずは防御にまわり、やつの能力をみきわめなければ。
(『ポケットモンスターSPECIAL 7』,小学館,2000,p.21)
戦闘可能時間が短いミュウツーにとって防御はあまり相性がよくありませんが、作中ではいったんバリアで受け、機を見てバリアを張ったまま突撃するシーンがみられます。これはカードによって直接的な再現を試みることはしなくても、相手のデッキや出方に応じたプレイングができるこのデッキの性質で十分再現できているでしょう。
受けとしては超リムのほか、いいきずぐすりの使いまわしも有用です。
「お休み中」
ふだんこいつは、特殊な水溶液の中で暮らしている。運ぶ時も水溶液に入っているのと同じ効果を持った特殊なボールを使う。
(『ポケットモンスターSPECIAL 7』,小学館,2000,p.34)
ポケスペミュウツーは、ふだんカツラの研究所の水溶液の中におり、そこには「お休み中」という札が下がっています。これは「エネルギーをたくわえている」と読み替えて、1ターン目のエネルギーきゅうしゅうで対応していることにします。
また、「特殊なボール」については、原作同様マスターボールを採用。ただし、これはミュウツーのサーチ用ではなく、終盤に夜廃で戻したいずれかのゴーストをもってくるために入れています。ぶっちゃけこれも礼儀作法で問題ないのですが、コンセプト上ぜひ入れたいカードです。
なお、後述の没デッキではタイムカプセルでの再現も検討していました。
ザワザワ・びくんびくんetc...
この腕は…もうすぐ使いものにならなくなる。ミュウツー細胞は、いずれ全身を侵食し私の生命を奪うだろう。(中略)やつには私の!!私にはやつの細胞が入りこんだおかげで、近くまでくれば互いの位置がわかる!共鳴ってやつだ。
(『ポケットモンスターSPECIAL 3』,小学館,1998,p.117)
カツラは腕からミュウツー細胞に入り込まれ、7巻段階では肩近くまでを蝕まれています。作中、カツラの腕はよくザワザワ疼いていますし、時折ミュウツー細胞が暴走して血管?がびくんびくんしています。
でも私、気づいちゃったんです。あれね、たぶん腕の中にアンノーンが埋め込まれてるんですよ。びくんびくんいってるやつ、なんとなくアルファベットに見えませんか?自然とミュウツーの位置までわかっちゃうんなんて、こりゃ文字通り「ミュウツーWANT」ですよHAHAHA!
(注:その論理なら「FIND」のほうがしっくりくるんじゃね?ってツッコミはなしでお願いします)
控えポケモン
ゴースト!たのむよ。(はーい)カツラさんが留守の間、この男の世話をするように頼まれているんだけど。—――ボーイスカウトとゴースト
(『ポケットモンスターSPECIAL 6』,小学館,1999,p.159)
カツラの留守の間、秘密の研究所兼グレンジムを守っていたのはボーイスカウト。カツラの特訓相手になっていたり、単身で危険人物を管理したりと、なぜかやたらカツラに信頼されているトレーナーです。彼の相棒はゴースト(返事しててかわいい)。この、むじゃきな顔をしたゴーストには見覚えが……。
4巻のグリーンの回想シーン(四天王戦の2年前)で、無人発電所でのキクコ戦が描かれますが、そこでグリーンのピンチを救った「ボーズ」のゴーストとそっくりです。「ボーズ」の髪型もボーイスカウトにそっくり。作中で直接言及はされていませんが、2年も経っていますから、成長して立派なトレーナーになったということでしょう。
カツラの留守を守る者の相棒ということで、ゴーストはこのデッキのサブとして採用します。ポルターガイストのほうは作中で描かれているような正規ルート。ミニスカが引けないときや苦手対面のときなどのプランBとして積極的に活用します。
おんねんのほうは、作中何かしら事が起こってしまった場合のifルートでしょうか。このデッキでは終盤の一発逆転狙いや、牽制・囮として活用でき、入れておいて損のないカードです。
使用感・苦手対面
SMB10月予選、2勝1敗でした。初戦負けが痛く、オポ差で抜けられませんでしたが練りに練ったデッキで十分に戦えて楽しかったです。詳しくはブログに書きますが、某マンガに着想を得た「カツラのミュウツーデッキ」。 pic.twitter.com/mr7nQNNx7X
— まくらぎ@旧裏 (@sleeper_pcg) 2021年10月30日
2021年10月の新殿堂の大会で使用しました。2回のミニスカをトップ解決される不運もあり、全勝とはいきませんでしたが、さまざまなデッキに強く出ることができました。その後のフリー対戦でも高勝率でしたが、何より使っていて楽しい。
筆者はコイン運の悪さに定評があるため、コインの上振れは望めません。それでもドローがつながりやすく、理想盤面を築きやすいです。ピン差しのカードも多いため対応力も高く、多少不利になってもプレイングを間違えなければ激戦に持ち込めます。
このデッキの苦手対面については、以下が主なものになります。
①ベロリンガ入りのデッキ(鋼ラッキーなど)
②たねが殴れる超デッキ(特にナツメのケーシィ)
③ピチュー(neo1)
①は嫌な相手ではありますが、絶望的ではありません。鋼ラッキーならベンチを呼ばれる心配がないので、逆にLOやエネ枯らしをしかけることができます。どうしてもくすぐりマシーンをかいくぐる必要が出てくるので、そこでどうか、といった相性です。
②は1ターン目にミニスカを決めることを最低条件として、ゴーストやコラッタを中心に応戦する苦しい戦い。ミュウツーが場持ちしない(エネループで確2)だけでなく、アンノーンが簡単に狩られるのが厳しいところ。
③マジピチ。2回パチパチされただけでアンノーンWANT(=サイド4枚)を持っていかれてしまい、びくんびくんしていた血管が萎えてしまうのでどうにもなりません。見かけたら確実に1発で仕留めたい(なおコイン)。
没デッキ紹介
カツラとミュウツーの組み合わせは以前からいろいろと構想を練っていましたが、とあるイベントで「カツラの奥の手」の活用を考える中で、方向性が一気に固まりました。カギとなったのは「カツラのギャンブル」、そして先述した「捨てる効果はメリットである」という考え方でした。
わるクロミュウツー
ポケスペのカツラは元ロケット団なので、わるいポケモンもクロバットラインも違和感がありません。そのうえで、わるクロデッキの常識である「わるクロラインを温存する」を無視して、「わるクロラインを切りまくる」ことを前提に組みました。
戦略はごく単純。カツラのギャンブルやスパイ作戦で不要なポケモン・エネルギーを切りまくってドローし、おおかた引いたところで夜廃やタイムカプセルでわるクロラインを山に戻す、というものです。
逃げゼロのたねだけで組めるのでミュウツーが使いやすいうえ、マスターボールも効果的に使える――と思ったのですが、夜廃やタイムカプセルをキープしておくのが非常に難しいうえ、退化スプレーhyperも入らないことから最大打点が不足します。
普通の超軸わるクロのほうが強いよね、ということでこれは没に。
レインボートランス
次に考えたのが、草軸ながらレインボーエネルギーを活用してミュウツーの「エネルギーきゅうしゅう」を使い、フシギバナの「エナジートランス」で運用する古典的なデッキ。パーツは多いながら完成すれば強力なデッキで、ホウオウ(PF3)にエネを移して110点!という芸当ができるのが魅力です。
22/2/19追記:レインボーエネルギーはneo1以降エラッタがかかり、テキストが、”場にあるかぎり、「草・炎・水・雷・超・闘・悪・鋼」の中のどの「色(タイプ)」のエネルギーとしても、あつかわれる”に変更となったため、レインボーバーンの打点は最大110点になるようです(出典:「ポケモンカードトレーナーズ」Vol.5,p.58)
「積極的に捨てる」以外に原典からのひねりはありませんが、フシギバナ(レッド)と協力して戦う中で伝説のとりポケモンが降臨する――というポケスペ原作の展開に近いことから検討していました。
しかし、レインボーエネや逃げコストの面から、1ターン目にミュウツーを起動できる確率が高くないうえ、ミュウツーが主役にならないため没にしました。
おわりに
長々とポケスペ原作との関連について書いてきましたが、このデッキを実用化していく過程では、次のカツラのセリフが大きな原動力になりました。
フフ…久しぶりになつかしい言葉を思い出したよ。かつて私もあこがれ、目指していた言葉を。「ポケモントレーナー」……。ポケモンと信頼し合い、共に生きる者…。レッド、まさしくキミのことだ。
(『ポケットモンスターSPECIAL 3』,小学館,1998,p.123)
当時、私はあまり旧裏を楽しめなくなっていました。
カードプールが限られた旧裏では、どうしても一線級のカードが固定化されてきてしまいます。その中でマイナーカードを使うのは楽しいものですが、メジャーカードでさえ採用にダメ出しを受けるうちに、なんだか自分で考えてデッキを組む気力がなくなってしまいました。
でも、先のカツラのセリフで気づかされます。「このカードはきっと活躍する」という信頼も「このカードで負けても本望だ」という覚悟も自分には欠けていたのです。
原作のカツラは、自らが生み出してしまったミュウツーと「ともに死ぬ」つもりで突き進んでいましたが、ミュウツーの捕獲を機に「ともに生きる」方向へ大きく転換します。ボールに収まったミュウツーと目を合わせ、両者の信頼関係が芽吹くとともに、リスクを背負って生きる覚悟を決めた名シーンです。
さて、先ほどあえて「ダメ出し」と書きましたが、他のプレーヤーからのアドバイスは、その通りにするかどうかはさておき、ブラッシュアップに役立つものです。あくまで一意見、と私も割り切っていたつもりでしたが、当時は信頼と覚悟が不足して弱気になっていたようです。
このデッキの初陣となった先述のSMB10月予選では、残念ながら予選通過はできなかったものの、みなぎる自信のもとにプレイできていたこともあって、とても楽しかったです。負けも悔いのないものでした。
原作のカツラに重なる、自分を原点回帰させてくれたデッキとして、今後も大事に使っていきたいと思います。
でもコインは………今日も裏!
This is MAKURAGI!!!
(おわり)