旧裏レポパ

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ポケカ旧裏用ブログ

参考デッキ引用のススメ/旧裏デッキレビュー(2021/9)

参考デッキ引用のススメ

発売から25年経ってなお進化を続ける旧裏界隈で気になっていること。それは「価値ある研究をしっかりたどれるようにしたほうがいいのでは?」というものです。

 

ものすごく強いデッキ、革新的な発想のデッキ、オリジナリティあふれるおもしろデッキなど、デッキレシピ単体でみれば、SNSやブログでよく見かけます。しかし、参考にしたであろうデッキや発想が言及されているものは、現状極端に少ないと思います。

 

べつに、「先に作った人の専売特許だ!!!」なんてことを20年以上前のカードゲームでいうつもりは毛頭ありません。ただ、似た研究が乱立して、しかもどれも起源っぽい顔をしているのは面倒だし、発展性に乏しいと思います。たとえば、1つのデッキレシピを見て、

このデッキ強い、すごい!→参考にしたデッキもすごいな、でも現環境に合ってないところがあるからこうしたのか→あ、かつてはこんな発想もあったのか、なるほど…

なんてことを考えさせたら良記事ですよね。もちろん、こんなことを書いている私だって、デッキレシピを書いていて、「こんなすごいのを私が作りました。えっへん。」という気持ちが幾分かはあるわけです。とはいえ、これまで評価が高かったものを引っ張ってきて対比しながら考えるほうが成果物の質を期待できるし、先人へのリスペクトを示すこともできます。

 

ただし、先人の旧裏研究を体系的にたどれるものなど現状ないので(スイカさんのカードランクもカード単位の点的なものなので限界がある)、近年のものや目についたものの引用・言及が多くなり、見過ごされてしまうものが出てくるのは仕方ないことだと思います(誰もカードランクのほかに新たに旧裏データベースなんて作ろうと思わないし)。

そうであっても、引用の説得力はやはり大きい。強いデッキから着想を得たデッキがもたらすのは、新たな強いデッキの誕生か、引用元のデッキの強さの証明です。たとえ後者の結論であっても旧裏においては価値がある考察だと思います。

 

 

他のプレイヤーのデッキをレビューしたい

また、もう1つ関連して気になっているのは、デッキレシピに関する当人以外のリアクションは対戦者の断片的な感想くらいしか残らないことです。対戦後の感想戦、大会後のデッキ発表での意見交換、デッキの共同制作など、有意義な場こそあれ、それが形として残らないのは残念に思っています。大人数でなくとも、当人以外の証言があったほうがその価値は高まりますし、さらなる深化のヒントとなることが期待できるからです。

 

そこで、今回から、個人的に最近感銘を受けた他のプレイヤーのデッキについてレビューを書いていきたいと思います。過去には2019年度LOデッキについての記事を書きましたが、これよりもデッキを深堀りしたものにしたいと思います。

「インスピレーションをもとに新しくデッキ作って引用紹介すればいいんじゃ?」と言われそうですが、自分には扱えなさそうなデッキとか、改良しようとしてもうまくいかないデッキとかあるわけで。あと単純にすごさを語りたい。

3~4つたまったら書こうかな、というノリなので不定期ですし、たまに遡ってピックすることもあるかもしれません。あと、好評じゃなかったら打ち切り。また、筆者個人の主観・視野に基づく考察となることは断っておきます。

 

 

 

旧裏デッキレビュー(2021/9)

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カツウィン単

note.com

シンプルに割り切った構成で、衝撃のデッキでした。

従来、バクフーンと組み合わせたカツウィンバクフという古典的な型があり、カツラのウインディ単体で注目されることはまれでしたが、このデッキの登場によりカツウィンの活躍の幅が広がったと言っていいでしょう。

 

このデッキの革新的なところは、「バクフーンなしではエネ供給が間に合わない」という従来の主張に対し、バクフーンなしでもエネ供給が間に合う」という反論ではなく、「バクフーンはかえって邪魔じゃね?」という回答をしてみせたところです。実にあまくんらしい。

そしてこのデッキでは、カツウィンを常時2体以上立てない、という高度なプレイングを要求します。付け入る隙を作らずに逆指名を有効活用して圧倒するためです。カメックスなどの苦手対策も切り、カツウィンだけで勝ちきるように組まれたデッキはうまくまわせれば非常に強力。登場後1年以上経っても、このデッキの亜流を大会でよく見かけるのはその証左です。

 

このデッキの思想をそのままにアレンジするなら、まずダウジングマシーンの代わりにマルマインの採用を思いつきます。たねのビリリダマも逃げゼロのものを使えば「もえあがる」の邪魔をしないし、エネエネの恩恵はやはり大きいでしょう。しかしそのぶん必要なカードの枠を食っていびつに。また、逃げゼロビリリダマはHP30でサイド稼ぎの格好の的ですし、エネエネのサイド消費も加味すると、燃費の悪いカツウィンにとってはかえってサイドレースが不利になりかねません。真に”単”であるこのデッキの強さが見えてきます。

 

さてここからは私の話。実際に自分でまわしてみると、2体目のカツウィンを用意し始めるタイミングが難しい。しかし、条件さえ整えることができれば、逆指名で「ほのおのあらし後のウインディを下げて2体目を出し、相手の好きなポケモンを呼べる」ということが可能だと気づきました。これは逆指名のデメリットさえメリットに変えてしまう使い方で、リスクはあれど私はさまざまなデッキに活用しています。とはいえ、カツウィンを2体場に出すとエネのついていないほうが狙われるため、「カツウィンの逃げ負担を軽減して戦うには?」という新たなテーマができ、新デッキ(テオ・テスカトルは突然ににつながりました。「カツウィン単」は今後も長く参照されるべきデッキレシピだと思います。

 

 

わるヘルターボ

makomart.hatenablog.com

次も”単”デッキ。カードの種類が最低限に抑えられた、シンプルの極致。

そして、攻めまくって攻めが切れたら負けのさわやかさ――と一見思いますが、そんなに単純なデッキではないのがこのデッキのすごいところです。

 

基本戦略は明確で、わるいヘルガーが速攻で中打点を叩き込んでいくというもの。そこに、プラパや悪エネをからめて打点を調整しつつ、逆指名で相手の育成中のアタッカーを狩っていきます。ここまではシンプルです。では、どうやってサイドを6枚とり切るか?

 

このデッキはコストを払って負荷を押し付けていく、いかにも”黒”っぽいデッキです。強いカードは多いものの、サイドを6枚とる構想のもと、使うタイミングを計算しなければなりません(もちろんサイド落ちの確認は必須)。たとえば、何も考えず「毎ターン悪エネを貼れるように山を掘りにいく」という戦術をとってしまうと、負担コストが成果に見合わず、サイドを取り切れないでしょう。このデッキを使うにあたっては、勝負所を見極めて、大きなコストを払う覚悟と判断ができるかどうかがカギなのです。

 

具体的には、エネのついたメインアタッカーをいかにタイミングよく狩れるかに全力を注ぎます。メインアタッカーを潰せれば反撃が気にならず、「相手を1回で倒さなくていいや」というターンがしばらく生まれるからです。その間は無理に動きません(倒し続けられるなら別ですが)。2エネ30点のターンを入れながら、サイド6枚までの再計算をします。そう、このデッキは必ずどこかでガス欠・小休止のタイミングがあるのです。いかに不利な盤面でのガス欠ではなく、有利な盤面での小休止とできるかが焦点になります。

 

ガス欠を避けるのは非常に難しいです。私はブラッキーとヘルガーのデッキをよく使っていますが、こちらは普通のヘルガーをメインに使って小休止ウェルカム&中終盤勝負の志向。勝負所でリソースを掘りすぎるととれる手段が限られるため、「待ち」の姿勢をとりやすいようにしてリソースを維持する構築です。わるいヘルガーの面倒ばかり見ているとほかのポケモンにエネが貼れず、意表を突かれて落とされたときの挽回が厳しくなるため1枚のみの採用です。

 

一方で、「わるヘルターボ」ではそんな心配はそもそもの戦略に組み込まれていません。一度相手の盤面が完成してしまったり、主導権を握られたりするとかなり勝ちにくくなってしまいますが、そんなことは起こらない前提。要所での覚悟と判断、そして「悪エネがないならメタモンを使えばいいじゃない」という「じごくのほのお」へのこだわりをもって勝ちに行くデッキなのです。

 

 

グドリオ

blog.livedoor.jp

最後は事実上の「キングドラ単」。グドラデッキのサブアタッカー用にプラスパワーが入るのはよくあることですが、30打点がせいぜいのキングドラのためだけにプラパ4投というのは革新的でした。

 

確かに、先攻をとれば2ターン目のシードラ30点+3ターン目のグドラ30点+プラパで、相手の1進化未満のポケモンを狩るチャンスがあるので合理的。なんなら2ターン目のシードラ30点+プラパでたねポケモンも落とせます(筆者は実際食らった)。

また、引用元のスイカさんの記事では、逆指名の殿堂1点環境(特にこのデッキを持ち込んだ当時の高槻殿堂)における逆指名の強さと、ベトベトンの仮想敵の少なさを指摘しており、それをふまえた構築として至極納得のいくものです。べトンを入れる目的は相手の厄介な置物(フーディンフシギバナ等)規制なので、いないほうが自由度が増すし、いたらいたでいいように拠点に使われてしまいますので。

 

グドラデッキは自由度が高いことから、さまざまな組み合わせが試されやすいデッキですが、このデッキはグドラ単でとことん地味(そういえばグドラべトンもほぼ単だった)。これはキングドラへの信頼の証といっていいでしょう。

ドードリオも、打点の大きくないこのデッキにおいては地味な印象ですが、ポケセンの有効活用や逆指名の暴力のために大活躍するパーツです。これは使うか、使われるかするとわかる(経験者談)。ただ、タイミングよくパーツを引けないと、夜廃2エイパムなし構築では長期戦への不安があり、自分ならそこをいじってしまいそう。

 

また、ピチューの採用は特殊能力対策として記述されていますが、これは偶数の打点補助というメリットがあると思っています。ドードリオのおかげでグドラ下げ→ピチューという動きがやりやすいのも推しポイントです(もっとも、ピチューの活躍は相手に左右されますが)。

さらに、キングドラの打点補助という観点は、プラパ4投グドラデッキが増えてくる中で要注目ポイントだと思っています。たとえば、ジャストさんの「グドライマイン」は、1~2ターン目にビリリダマが20点を出すことができ、グドラが立った後の打点補助になります。「ロケット団の爆発ジム」も採用され、打点補助の意識はかなり強いといえます。ただ、このデッキはエネエネをしてまで精度75%のたつまきを撃ちたいか、というところが疑問で(というか好みが分かれる)、打点調整だけ考えるならB3さんの闘グドラなどのように、ほかの序盤アタッカーの候補はありそうです。

 

「グドリオ」に話を戻します。最後に言及したいのがエネルギーの少なさ。このデッキではドードリオの存在により、通常のグドラデッキと比べてリサイクルエネルギーの価値が高くならないことから、その価値を少しでも高めるためのエネ枚数でしょう。しかし、このデッキで狙いたいのは前のめりの攻撃だったはず。「3ターン目までに最低1枚は確保」という解説がされていますが、2ターン目にシードラが2エネ30点を出す展開にならないと長期戦にもつれ込みやすく、必然的に夜廃の数が仇になってしまいます。リサイクルエネルギーをなかなか引けない場合もありますし、このあたりは微調整してみたいところです。

このように多くの示唆を与えるデッキではありますが、スライに極端に弱いのと、地味すぎて微調整を試みる人が少なそうなのがネック。強いんだけどな……

 

 

以上、今回は”単”のデッキ3つのレビューでした。