旧裏レポパ

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ポケカ旧裏用ブログ

デッキレシピ:キョウの忍者修行デッキ2021

~あらすじ~

2020年杉並法改正によってキョウのラッキーに重い制限が課され、一気に弱体化してしまったキョウの忍者ジム。そんな中でも、マチスの協力やラジオとうの活用によって、苦しいながらもなんとか活路を見出してきた。
そして迎えた2021年杉並法改正では、まさかの追い風の改正。しかし、キョウはそれを生かす策を見つけられないまま苦悩し続けていた――。

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今年の忍者ジムの戦いはいかに……?

 

<このデッキの過去のバージョン(過去のストーリー)>

オリジナル(2019年版)

m-pcgclassic.hatenablog.jp

 

2020年版

m-pcgclassic.hatenablog.jp

 

 

 

 

1.2020年の課題

キョウ「ククク………」

ピカ「! 何かひらめきましたか?」

キョウ「いやさっぱりだ。いい加減笑えてくるな……」

ピカ「……とりあえず課題を整理しましょうか。昨年の戦い方はこんな感じでしたよね」

2020年の戦い方

①キョウのピカチュウに2エネ貼って殴る(30点or80点)

②「キョウ秘伝,変わり身の術」を貼り、受けきれない攻撃はピッピ人形や逃げゼロHP70のストライクに受けさせる(場合によってはディフェンダーを使ってキョウのピカチュウが受ける)

③ワープポイントやライコウのいなびかりで相手を入れ替えつつ倒していく

マチスの交渉で勝負の短期化をはかり、変わり身の術はリサイクルで再利用してもたせる

⑤ラジオとう+コラッタで不要札をサイドに飛ばし、事故のリスクを軽減する

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変わり身とディフェンダーで守る基本戦術

 

ピカ「単調……変わり身と薬が切れたらもう負けって感じでしたね」

キョウ「左様。しかし変わり身の補充は計算できるものではない。忍術に頼りすぎても勝負を見誤るものだ。我らは術が使えるうちに勝ちきらねばならぬのだ」

ピカ「そんな……」

キョウ「ラッキーの代役は誰にも務まらん。それははっきりした。昨日ライコウが火山のような友を連れてきてくれたが、気まぐれに帰ってしまうようでは話にならん。目下、もっとも注力すべきは序盤打点調整だ」

ピカ「確かに自分スタートで後攻とかキツいですね。いきなり変わり身するんじゃあとがもたないし……。それと、自分以外で20点出せたら…って場面は確かに多かったです」

キョウ「課題は見えているのだ。だが具体的な策が見つからん……」

 

 

2.マチスのプラン

マチス「おうおう、シケたツラしてんなあ!このマチス様の出番か!?!?」

キョウ「フン、おぬしに油を売ってる余裕などなかろう。今回の法改正で”スライ”が実質死んだのだ、ジムの様子はどうだ?」

マチス「ハハハハハハ!あれにはまいった!ジムのやつら、これまでカモにしてたキングドラカメックスにぼろくそにやられて、ハラキリしちまう勢いだぜ。だがな、まだライチュウは死んじゃいねえ。団のマルマインを使ってじっくり戦う方法も……」

キョウ「おぬしの戦い方に興味はない。もう帰れ」

マチス「ケッ、気が立ってんなあ!今年もアンタのためにプランを用意してきてやったぜ!ほらよ!」

エレブー:オレのところのヤツは主役ばっかやりたがるが、コイツはサブもいける!2エネ40点の脅威を見せて序盤を制圧しちまおうぜ!

R団のサンダー:団では俺が面倒見てるが、相変わらずヤバいヤツだぜ。しかも法規制が年々ゆるくなってきて、今年はもうほぼ野放し状態だ。なあ、これほんとにいいのか??暴れさせてやろうぜ!

マチスのライチュウ:ある日コイツに(ピー)してみたらアンタんとこのピカと同じワザが使えたんだ!俺のライチュウは体力もあるし、(ピー)したらあのワザ使えるんなら(ピー)しまくってぶちかまそうぜ!

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逃げエネを拾ってこれるところも優秀なサンダー

 

ピカ「(ライチュウのところの伏字こわい)」

キョウ「……オレの忍術を使えぬ電気ネズミに用はない。とはいえ、エレブーとサンダーは求めていた序盤要員だ。特にサンダーは打点の面でもしっくりくる。しかし……」

マチス「殿堂ポイントか?いいじゃねえか、突風とか逆指名なんてもともと使えなかったんだ。ハンパに欲張るくらいならサンダーを厚く使うか、おうごんのみでもぶっさしとけ!」

キョウ「ム……そうだな。おまえの策を採るのは癪だがつべこべいっている余裕はない。これでいくことにしよう」

???「ウフフフ、そんな浅い考えで勝てるのかしら?」

 

 

3.戦略の修正

ピカ「誰???」

キョウ「……ナツメか。何しに来た?」

ナツメ「団のサンダーを勝手に持ち出されそうな予感がしたのよ。結果を出せなかったらサカキ様になんて報告するのかしら?」

マチス「おうナツメ、サンダーはこのマチス様の管轄だぞ?それにアイツを連れていって負けるわけがねえ」

ナツメ「ウフフフ……マチス、サンダーのポテンシャルを知るあなたなら気づいてるんでしょ?キョウ、サンダーを入れるということは、ピカ単騎で戦う戦略をやめることになるのよ」

キョウ「!!!」

マチス「まあそうなるな」

ナツメ「あのサンダーは利口。エネを自家発電できて手がかからないうえ逃げやすく、逃げた後も再起動が早い。だからサブとして使えると考えたのでしょうけど……結局ピカ頼みなら今年も術切れの問題に悩まされるだけよ。サンダーを生かす構築をしなければデッキパワーの底上げにはならないわ」 

キョウ「くっ……さすがはナツメ…返す言葉がない。悔しいが、やはり弟子には勝たせてやりたい。この際ダブルエース構築でもなんでもかまわん」

ナツメ「そう。ところでピカ、私のポケモンにならない?私ならその不安定なワザの精度を高められるはず。あと……一瞬で相手をラクにしてあげられるかも」

(心なしかムチの鳴る音がきこえる)

ピカ「えっ……(なんかこわい)。あ、あの、同期のラッキーとの約束(したっけ?)があるので、自分は忍術を使って戦いたいです」

キョウ「ククク……本人の意思は尊重せねばな(ニヤリ)。しかしわしにはこれ以上策が思いつかん。ナツメよ、おまえの策にゆだねたい」

ナツメ「わかったわ。そうね、まずキョウ、あなたはいらないわ

キョウ「……ッ!!!」

 

 

4.超改革

マチス「ヒュー♪ 言うねえ!」

ナツメ「”キョウ”はサンダーに使えない。それに、ピカに使ったとしても、ワザの打点が不安定な以上、毒の10点にすがる場面はあっても毒が生きる展開は少なそうね」

マチス「でも俺は連れてくよなあ?大事な交渉はまかせなって!」

ナツメ「あなた、わざわざサイドを減らしてどうしたいの?サンダーを強気に使って殴り合うならサイドの余裕は大前提じゃない」

マチス「な、ならよ、俺のスパイ作戦はどうだ?サンダーと好相性だぜ!」

(「そのために入れるの、頭悪いっすね」)

ナツメ「……あら、なんだか人生楽しんでそうな人の忠告がきこえたわ。不要ね。私の”眼”があればあなたがいなくても平気」

ピカ「(大粛清だ……)」

ナツメ「次は具体的にサンダーを生かすためのパーツを入れていくわ。おそらく、要はエネのやりくり。このナツメの得意分野よ」

雷エネルギー:1~2エネ起動のデッキだが、サンダーのプラズマのために積極的にエネを捨てるなら11枚あっても損はない。序盤にエネが引けない、場にたまりすぎてエネがない、という事態は回避したい。

学習装置:もとから採用されていたが増やした。ピカを切らさないためだけではなく、サンダーに素早く70点の構えをとらせることもできる。これは大きな牽制になるだろう。学ばない者は殴り合いでも勝てないのだ。

いいきずぐすり:殿堂の都合もあるが、おうごんのみはピカには使いにくい。だがこのカードなら、サンダーはもちろんピカの微ダメージも取り除ける。そこから生まれる勝ち筋は多いはずだ。中盤以降はエネが余りがちでもある。それと、どこからかこのカードを推す声が聞こえた。

(「いいきずはいいぞぉ……」)

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ナツメの超改革

 

キョウ「(案外地味だな……)ところで、わしを切ったということは打点調整の手がほかにあるのだろうな?」

ナツメ「当然よ。私のジムからこの子を連れてきたわ」

ムチュールが不安げに顔をのぞかせる)

マチス「Oh...so cute...」

ナツメ「10点しか出せない。でも、最後に詰める10点も、あらかじめ乗せる10点も強力。実質バトル場以外にも飛ぶプラパと言っていいわ」

キョウ「ククク……見事だナツメよ!……ム、ちょうどコラッタが人形の買い出しから戻ったようだ。これでデッキが完成する」

 

 

5.最後のピース

コラ「ただいま戻りましたぜ、はいはいいつもの人形ね……あれ???」

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ピッピ人形の1つはピィだった!仲間になりたそうにこっちを見ている。

 

ナツメ「(かわいい……)この子も連れていきましょう。すごいワザが使えるみたい。これで事故率も下がるし、もうコラッタもラジオとうもいらな…」

(「ラジオとうはいいぞぉ……」)

ナツメ「いや、あってもいいわ。事故率は下げるに越したことはない。コラッタ、あなたも戦いなさい。ただし必ず1回20点出すこと。命に代えてでも」

コラ「ひいいいいいい」

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2021年のメンバーが確定

 

マチス「これで完成か?なんかもう一押しほしい気もするんだが……」

ナツメ「ウフフフ、欲張りね。あとは私のサイキックコントロールで十分。うまくいくかはわからないけど、構築を越えた可能性を見出せるのは大きいはずよ」

マチス「それは心強い!……なんだ?」

ピカ「これは強くなりそう……ん?これは…ワープポイント……?」

キョウ「ククク……これでわが忍者ジムは盤石……なっ、ナツメ何を!!!」

ナツメ「あら、何を寝ぼけたことを言っているのかしら?これでわれらR団の新デッキが完成。ご苦労さま、あなたも少しはサカキ様のお役に立てたわね。ごきげんよう

 

ピカたちはナツメとともに消え去った!

キョウは めのまえが まっくらに なった!

 

~Fin~

 

 

 

デッキレシピ

2 _のピカチュウ(キョウのピカチュウ)☆☆☆☆☆☆/★★★★★★★★★★★★★★★★
2 R団のサンダー☆☆/★★★★★★★★
1 コラッタ(R団)
1 ライコウ(neo3)
1 ムチュール(プロモ)★
1 ピィ(プロモ)★★
4 ピッピ人形

 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
3 マサキ
1 ナツメの眼

 
3 礼儀作法
3 ディフェンダー
1 いいきずぐすり
4 キョウ秘伝,変わり身の術
1 ナツメのサイキックコントロール
1 ラジオとう
3 夜の廃品回収
2 ワープポイント
1 ポケモンいれかえ
2 学習装置

 

11 雷エネルギー

ーーーーーーーー

杉並殿堂2021☆:8/8

新殿堂★:27/8

 

 

 

おわりに

 

ようがんりゅう杯で優勝できました。

参加者が多くなく、また独特なデッキばかりではありましたが、新しく入れたカードがよく働きました。あと私にしてはコイン運がよかった。キョウのピカチュウはベンチにいても脅威になり、仮に呼ばれて落とされても、その間にR団のサンダーが育っていくのでたいして痛くないという手厚さ。

サイキックコントロール→突風で接戦の勝負を決めたりもしたので、サカキ様にいい報告してくれちゃっていいよナツメさん。

 

2021杉並環境で相性を考えると、エリウツデッキはベンチを呼ばれまくるので苦しい印象。そのほかはコイン投げてるうちに適当な勝ち筋が見えてきそう。闘タイプはまあいないでしょ。さすがにR団のサンダーの殿堂が1点なのはぶっ壊れなので、来年殿堂が変わる前にこのデッキでもうひと暴れできたらと思っています。

それにしてもポケスペ1~2章は何度読み返してみても名作。

 

参考デッキ引用のススメ/旧裏デッキレビュー(2021/9)

参考デッキ引用のススメ

発売から25年経ってなお進化を続ける旧裏界隈で気になっていること。それは「価値ある研究をしっかりたどれるようにしたほうがいいのでは?」というものです。

 

ものすごく強いデッキ、革新的な発想のデッキ、オリジナリティあふれるおもしろデッキなど、デッキレシピ単体でみれば、SNSやブログでよく見かけます。しかし、参考にしたであろうデッキや発想が言及されているものは、現状極端に少ないと思います。

 

べつに、「先に作った人の専売特許だ!!!」なんてことを20年以上前のカードゲームでいうつもりは毛頭ありません。ただ、似た研究が乱立して、しかもどれも起源っぽい顔をしているのは面倒だし、発展性に乏しいと思います。たとえば、1つのデッキレシピを見て、

このデッキ強い、すごい!→参考にしたデッキもすごいな、でも現環境に合ってないところがあるからこうしたのか→あ、かつてはこんな発想もあったのか、なるほど…

なんてことを考えさせたら良記事ですよね。もちろん、こんなことを書いている私だって、デッキレシピを書いていて、「こんなすごいのを私が作りました。えっへん。」という気持ちが幾分かはあるわけです。とはいえ、これまで評価が高かったものを引っ張ってきて対比しながら考えるほうが成果物の質を期待できるし、先人へのリスペクトを示すこともできます。

 

ただし、先人の旧裏研究を体系的にたどれるものなど現状ないので(スイカさんのカードランクもカード単位の点的なものなので限界がある)、近年のものや目についたものの引用・言及が多くなり、見過ごされてしまうものが出てくるのは仕方ないことだと思います(誰もカードランクのほかに新たに旧裏データベースなんて作ろうと思わないし)。

そうであっても、引用の説得力はやはり大きい。強いデッキから着想を得たデッキがもたらすのは、新たな強いデッキの誕生か、引用元のデッキの強さの証明です。たとえ後者の結論であっても旧裏においては価値がある考察だと思います。

 

 

他のプレイヤーのデッキをレビューしたい

また、もう1つ関連して気になっているのは、デッキレシピに関する当人以外のリアクションは対戦者の断片的な感想くらいしか残らないことです。対戦後の感想戦、大会後のデッキ発表での意見交換、デッキの共同制作など、有意義な場こそあれ、それが形として残らないのは残念に思っています。大人数でなくとも、当人以外の証言があったほうがその価値は高まりますし、さらなる深化のヒントとなることが期待できるからです。

 

そこで、今回から、個人的に最近感銘を受けた他のプレイヤーのデッキについてレビューを書いていきたいと思います。過去には2019年度LOデッキについての記事を書きましたが、これよりもデッキを深堀りしたものにしたいと思います。

「インスピレーションをもとに新しくデッキ作って引用紹介すればいいんじゃ?」と言われそうですが、自分には扱えなさそうなデッキとか、改良しようとしてもうまくいかないデッキとかあるわけで。あと単純にすごさを語りたい。

3~4つたまったら書こうかな、というノリなので不定期ですし、たまに遡ってピックすることもあるかもしれません。あと、好評じゃなかったら打ち切り。また、筆者個人の主観・視野に基づく考察となることは断っておきます。

 

 

 

旧裏デッキレビュー(2021/9)

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カツウィン単

note.com

シンプルに割り切った構成で、衝撃のデッキでした。

従来、バクフーンと組み合わせたカツウィンバクフという古典的な型があり、カツラのウインディ単体で注目されることはまれでしたが、このデッキの登場によりカツウィンの活躍の幅が広がったと言っていいでしょう。

 

このデッキの革新的なところは、「バクフーンなしではエネ供給が間に合わない」という従来の主張に対し、バクフーンなしでもエネ供給が間に合う」という反論ではなく、「バクフーンはかえって邪魔じゃね?」という回答をしてみせたところです。実にあまくんらしい。

そしてこのデッキでは、カツウィンを常時2体以上立てない、という高度なプレイングを要求します。付け入る隙を作らずに逆指名を有効活用して圧倒するためです。カメックスなどの苦手対策も切り、カツウィンだけで勝ちきるように組まれたデッキはうまくまわせれば非常に強力。登場後1年以上経っても、このデッキの亜流を大会でよく見かけるのはその証左です。

 

このデッキの思想をそのままにアレンジするなら、まずダウジングマシーンの代わりにマルマインの採用を思いつきます。たねのビリリダマも逃げゼロのものを使えば「もえあがる」の邪魔をしないし、エネエネの恩恵はやはり大きいでしょう。しかしそのぶん必要なカードの枠を食っていびつに。また、逃げゼロビリリダマはHP30でサイド稼ぎの格好の的ですし、エネエネのサイド消費も加味すると、燃費の悪いカツウィンにとってはかえってサイドレースが不利になりかねません。真に”単”であるこのデッキの強さが見えてきます。

 

さてここからは私の話。実際に自分でまわしてみると、2体目のカツウィンを用意し始めるタイミングが難しい。しかし、条件さえ整えることができれば、逆指名で「ほのおのあらし後のウインディを下げて2体目を出し、相手の好きなポケモンを呼べる」ということが可能だと気づきました。これは逆指名のデメリットさえメリットに変えてしまう使い方で、リスクはあれど私はさまざまなデッキに活用しています。とはいえ、カツウィンを2体場に出すとエネのついていないほうが狙われるため、「カツウィンの逃げ負担を軽減して戦うには?」という新たなテーマができ、新デッキ(テオ・テスカトルは突然ににつながりました。「カツウィン単」は今後も長く参照されるべきデッキレシピだと思います。

 

 

わるヘルターボ

makomart.hatenablog.com

次も”単”デッキ。カードの種類が最低限に抑えられた、シンプルの極致。

そして、攻めまくって攻めが切れたら負けのさわやかさ――と一見思いますが、そんなに単純なデッキではないのがこのデッキのすごいところです。

 

基本戦略は明確で、わるいヘルガーが速攻で中打点を叩き込んでいくというもの。そこに、プラパや悪エネをからめて打点を調整しつつ、逆指名で相手の育成中のアタッカーを狩っていきます。ここまではシンプルです。では、どうやってサイドを6枚とり切るか?

 

このデッキはコストを払って負荷を押し付けていく、いかにも”黒”っぽいデッキです。強いカードは多いものの、サイドを6枚とる構想のもと、使うタイミングを計算しなければなりません(もちろんサイド落ちの確認は必須)。たとえば、何も考えず「毎ターン悪エネを貼れるように山を掘りにいく」という戦術をとってしまうと、負担コストが成果に見合わず、サイドを取り切れないでしょう。このデッキを使うにあたっては、勝負所を見極めて、大きなコストを払う覚悟と判断ができるかどうかがカギなのです。

 

具体的には、エネのついたメインアタッカーをいかにタイミングよく狩れるかに全力を注ぎます。メインアタッカーを潰せれば反撃が気にならず、「相手を1回で倒さなくていいや」というターンがしばらく生まれるからです。その間は無理に動きません(倒し続けられるなら別ですが)。2エネ30点のターンを入れながら、サイド6枚までの再計算をします。そう、このデッキは必ずどこかでガス欠・小休止のタイミングがあるのです。いかに不利な盤面でのガス欠ではなく、有利な盤面での小休止とできるかが焦点になります。

 

ガス欠を避けるのは非常に難しいです。私はブラッキーとヘルガーのデッキをよく使っていますが、こちらは普通のヘルガーをメインに使って小休止ウェルカム&中終盤勝負の志向。勝負所でリソースを掘りすぎるととれる手段が限られるため、「待ち」の姿勢をとりやすいようにしてリソースを維持する構築です。わるいヘルガーの面倒ばかり見ているとほかのポケモンにエネが貼れず、意表を突かれて落とされたときの挽回が厳しくなるため1枚のみの採用です。

 

一方で、「わるヘルターボ」ではそんな心配はそもそもの戦略に組み込まれていません。一度相手の盤面が完成してしまったり、主導権を握られたりするとかなり勝ちにくくなってしまいますが、そんなことは起こらない前提。要所での覚悟と判断、そして「悪エネがないならメタモンを使えばいいじゃない」という「じごくのほのお」へのこだわりをもって勝ちに行くデッキなのです。

 

 

グドリオ

blog.livedoor.jp

最後は事実上の「キングドラ単」。グドラデッキのサブアタッカー用にプラスパワーが入るのはよくあることですが、30打点がせいぜいのキングドラのためだけにプラパ4投というのは革新的でした。

 

確かに、先攻をとれば2ターン目のシードラ30点+3ターン目のグドラ30点+プラパで、相手の1進化未満のポケモンを狩るチャンスがあるので合理的。なんなら2ターン目のシードラ30点+プラパでたねポケモンも落とせます(筆者は実際食らった)。

また、引用元のスイカさんの記事では、逆指名の殿堂1点環境(特にこのデッキを持ち込んだ当時の高槻殿堂)における逆指名の強さと、ベトベトンの仮想敵の少なさを指摘しており、それをふまえた構築として至極納得のいくものです。べトンを入れる目的は相手の厄介な置物(フーディンフシギバナ等)規制なので、いないほうが自由度が増すし、いたらいたでいいように拠点に使われてしまいますので。

 

グドラデッキは自由度が高いことから、さまざまな組み合わせが試されやすいデッキですが、このデッキはグドラ単でとことん地味(そういえばグドラべトンもほぼ単だった)。これはキングドラへの信頼の証といっていいでしょう。

ドードリオも、打点の大きくないこのデッキにおいては地味な印象ですが、ポケセンの有効活用や逆指名の暴力のために大活躍するパーツです。これは使うか、使われるかするとわかる(経験者談)。ただ、タイミングよくパーツを引けないと、夜廃2エイパムなし構築では長期戦への不安があり、自分ならそこをいじってしまいそう。

 

また、ピチューの採用は特殊能力対策として記述されていますが、これは偶数の打点補助というメリットがあると思っています。ドードリオのおかげでグドラ下げ→ピチューという動きがやりやすいのも推しポイントです(もっとも、ピチューの活躍は相手に左右されますが)。

さらに、キングドラの打点補助という観点は、プラパ4投グドラデッキが増えてくる中で要注目ポイントだと思っています。たとえば、ジャストさんの「グドライマイン」は、1~2ターン目にビリリダマが20点を出すことができ、グドラが立った後の打点補助になります。「ロケット団の爆発ジム」も採用され、打点補助の意識はかなり強いといえます。ただ、このデッキはエネエネをしてまで精度75%のたつまきを撃ちたいか、というところが疑問で(というか好みが分かれる)、打点調整だけ考えるならB3さんの闘グドラなどのように、ほかの序盤アタッカーの候補はありそうです。

 

「グドリオ」に話を戻します。最後に言及したいのがエネルギーの少なさ。このデッキではドードリオの存在により、通常のグドラデッキと比べてリサイクルエネルギーの価値が高くならないことから、その価値を少しでも高めるためのエネ枚数でしょう。しかし、このデッキで狙いたいのは前のめりの攻撃だったはず。「3ターン目までに最低1枚は確保」という解説がされていますが、2ターン目にシードラが2エネ30点を出す展開にならないと長期戦にもつれ込みやすく、必然的に夜廃の数が仇になってしまいます。リサイクルエネルギーをなかなか引けない場合もありますし、このあたりは微調整してみたいところです。

このように多くの示唆を与えるデッキではありますが、スライに極端に弱いのと、地味すぎて微調整を試みる人が少なそうなのがネック。強いんだけどな……

 

 

以上、今回は”単”のデッキ3つのレビューでした。

 

 

ちょうちょさん🦋チームvsはちさん🐝チーム【イベントレポ+デッキレシピ】

前回の「激突!サワムラー杯」に引き続き、チャットで口走った思い付きをきっかけに企画がスタート。

 

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今回はルールの縛りに加え、団体戦という試みをする都合上、所長戦同様に参加者を公募せずに研究チーム内で行いました。なかなかおもしろいイベントになり、また、オープンなイベントとしても実現できそうな手ごたえがあったため、イベントの模様をお届けします。

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ルール

●参加者を2チームに分け、総当たりの団体戦を行う。全試合行い、勝利数の多いチームの勝ち。
●レギュレーションは旧裏新殿堂に準拠。その他、対戦中のルールはSMBに従う(ただし時間制限は設けず、加えて以下の特別ルールを適用する)。
【特別ルール①】🦋チームは少なくともキャタピー×2トランセル×2バタフリー×2をデッキに入れること。🐝チームは少なくともビードル×2コクーン×2スピアー×2をデッキに入れること。ただし、「キョウのビードル」等はカウントせず、中間進化は「ポケモン育て屋さん」で代用可とする。
【特別ルール②】ポケモンは禁止
【特別ルール③】総当たり戦では、開始直前に互いのプレイヤーオーダーにより便宜上の試合順を決め、代表者のじゃんけんで勝ったほうからあらかじめ交互に先攻後攻を決定する。
●大会中のデッキ交換は認めない。
●デッキバレを防ぐため、未対戦の相手の試合は観戦不可。ただし、対戦済みの相手の試合は観戦してもよい。

 

 

チーム分け

参加表明は筆者を含む7名。奇数ですが、総当たりのルール上、メンバー数に差があっても成立します。どちらのチームがいいかそれぞれ希望を出した結果、4:3で全員の希望通りにチームが組まれました。

 

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ちょうちょさん🦋チーム

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はちさん🐝チーム

 

 

作戦会議・Tier1想定

初期構想

私がスピアーを使いたかったのは、まず先に使いたいデッキがあったからです。サカキのニドキングラインとスピアーを育て屋で組み合わせた「トキワのサカキデッキ」。ポケスペ読者ならおわかりでしょう。

しかし、よく考えてみると、今回のルールにおいては通常とは環境が大きく異なるため、決して強い構築にはならないと判断しました。考えたのは以下。

フォレトスorハガネールで抵抗力の暴力を狙う
●毒をまきまくって入れ替え切らせてからのとおせんぼカビゴン
●エリカのウツボットと組ませた速攻デッキ
フシギバナ+みねうちハッサム

今回のルールを生かしつつスピアーを活躍させるなら、上のほうから順に候補かな、と考えていました。事前の雑談ではやさしいレディアンと組み合わせた「きらめきハガネール」が強い、という声も聞かれましたが、たねのイワークがワンキルの餌食になりそうなのは懸念点。フシギバナは無難に強そうですが、私が得意としているので相手に読まれる可能性もあります。

相手に関しては、ほえらさんがエリウツ、うっどさんがミニスカ+鋼の暴力やカビゴンロックで来ると予想。マコマートさんはキャタピーを生かした速攻デッキ、あさりのみそしるさんはバタフリーの状態異常を生かしたデッキ、となんとなくのイメージです。

 

 

作戦会議

以上のざっくりした構想をチームメンバーに伝えたところ、ユミルテミルさんから鋭い環境読みが返ってきました。

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まさかのフォレトスがTier1。

当然すべてのメンバーがフォレトスの扱いに通暁しているわけですし、これはさらに輪をかけておもしろくなってきました。

同じくTier1の鋼ラッキーに関しても、相手チームに使い手が何人もいて厄介です。しかし、これに関してはウソッキー1枚で対策になるだろうと判断。

 

作戦会議をしながらデッキを組んでいきます。私は鋼ラッキーとフシギバナで悩んだ結果、ミニスカを警戒してフシギバナに。ポケセン入りデッキの扱いには自信があるので、1勝が大事なチーム戦としても妥当な判断だったと思います。

 

 

試運転

構築後、そのままの流れでチームメンバーと試運転開始。手札を見せて最善手の検討をしたり、カードの差し替えを提案したりしながら、それぞれのデッキを仕上げていきます。

うまく回って試運転は全勝。しかし、このデッキならではの悩みから、ある決断をしてカードを入れ替えます。これが吉と出るか凶と出るか・・・

 

 

使用デッキについて

デッキレシピ:「遺跡のフシギデッキ」

2 ビードル(拡張シート青)
2 スピアー(neo2)
4 フシギダネ(拡張シート青)
2 フシギソウ(イントロ)
2 フシギバナ(第一弾)
1 フシギバナ(GBプロモ)
2 ストライク(拡張シート緑)
1 ハッサム(neo2)
1 ウソッキー(プレミアムファイル3)
 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
3 マサキ

 

1 パソコン通信☆☆/★★
4 ポケモン交換おじさん
2 ポケモン育て屋さん
1 ワープポイント
1 ポケモンいれかえ
1 突風☆☆/★★
2 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆☆/★★
2 夜の廃品回収
3 ポケモンセンター☆☆☆
1 ロケット団の爆発ジム


8 草エネルギー
2 レインボーエネルギー

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杉並殿堂2021☆:11/8
新殿堂   ★:6/8
高槻殿堂 OK(執筆時点)

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このデッキのはちさん🐝たち

 

 

基本的な動き

先発ビードルorフシギダネで毒をまき、エネを守りながらフシギバナを立てます。フシギバナを急いで立ててもエネが足りないので、まずは場持ちを意識しながら、ソーラービーム60点の圏内になるように打点調整をします。フシギバナが立つまでは、逆指名が使いにくくならないよう、ベンチに出しすぎないよう気をつけます。

ハッサムは相手が草メインでない限りなるべく出さず、常に「たねポケモンの確定40点」の選択肢をとれるようにします(ミュウ対策もふまえて)。ウソッキーでサイドがとれそうな場面でも、逃げ3がバトル場に残るデメリットと秤にかけ、長い目で判断します。

 

 

スピアーについて

スピアーは育て屋でしか立てられません。主に序盤、ビードルスタートの場持ちをよくする場合②押され気味なのをHP80+さんばいどくで食い止めたい場合に積極的に立てます。逃げゼロがスピアーしかいないデッキなので、スピアーが立つと重宝しますし、ポケセンを含めた生命力は相当なものです。また、ただでさえ手札に腐りやすいトレーナーが多いデッキなので、育て屋はなるべく山に戻さずに使ってしまいたいという意図もあります。

なお、スピアーを立てられない場合でも、ビードルがよく働きます。ビードル(拡張シート青)は生きるプラパ。毒も打点もあるので打点調整に便利です。

 

 

殿堂とその他のカードについて

殿堂ポイントは今回のルールで2点不足しています。先ほどの決断はこれです。殿堂カードよりもほかのカードのほうがこのデッキでは価値が高いと判断したためです。リムーブを4枚目のフシギダネに代え、フシギバナラインを盤石にしました。結果的には最初のターンにフシギダネを出せた試合はゼロでしたが、たねの多さが役に立った試合もありました。

入れ替え・呼び出し札については、状態異常等を考慮して、こちらのポケモンを下げられるカードが4枚ほしいことからこのようにしています。

また、オーキド入りでポケモンセンターを使うなら3枚は必須。爆発ジムは鋼相手でも打点調整がしやすくなる可能性があり、ポケセン入りのこちらのデメリットは少ないため入れ得です。マサキ代わりにパソ通もう1枚、という手も考えましたが、切っていいカードがそんなに多くなく、ある程度カードをそろえることも必要なので不採用。

ソーラーパワーのフシギバナは結果的には不要で、ひたすら邪魔でした。エナジートランスもソーラービームも基本戦略であるにかかわらず、そのラインで別のことをやろうとするのは欲張りだったかもしれません。

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ポケセンをうまく使えるかどうかがカギ

 

 

個人成績と試合内容

私個人では3勝1敗でした。相手チームにはキングドラフシギバナを想定されていたようで、完全に読まれていました。しかし、おおかた思惑通り行き、スピアーの可能性と、フシギバナの強さを感じた内容となりました。

 

対ほえら戦

後攻6-1で勝利。ほえらさんはこちらの読み通りエリウツ。相手がエネやベンチ準備でもたつくうちに、こちらはスピアーのさんばいどくでブラッキーに圧力をかけます。その後、フシギバナが立ってからは突風や逆指名でエネつきのポケモンを狩り続け、最後はウソッキーブラッキーの「だましうち」をものまねしてベンチを倒し、ゲームセット。理想的な展開でした。

 

 

対マコマート戦

先攻6-0で勝ち。マコマートさんはエネエネを使うノンオーガニック*1フォレトスデッキ。エネエネでサイドが手に入り、フシギバナが立ってからはテンポよくサイドを取っていきますが、あと1枚のところで大ブレーキ。頼みのストライクがなんと最後のサイドカードに埋まるという展開で、相手のフォレトス2体とバリヤードorミュウorベイビィの壁が突破できません。「さんばいどく」での勝利チャンスを2回逃し、デッキ切れが迫るなか、まきびしを踏みまくりながらたねポケモンががんばります。最後はミュウとバリヤードが10点を受けきれなくなって勝ち。

 

 

対うっど戦

先攻2-6で負け。マリガン2回で4枚引かせてもらうも、うまく展開できずウツギ。引いた手札が、夜廃2、ポケセン2、逆指名2、交換おじさん1*2。数ターンエネも引けずに経過するうち、相手は鋼2枚悪2枚のついたわるいハッサムが降臨。こちらはなんとかフシギバナを立て、ポケセン2枚を使って延命しますが相変らずエネ不足。最後、ようやくオーキドを引いたため、ハッサムの「みねうち」でわるいハッサムのHPを削り(逃げで鋼を1枚切っていて、残りHP60なので20点入る)、次のターン、スピアーでさんばいどく表で撃破という筋が一瞬見えましたが、引いた7枚では何もできず負け。最後の手札には3枚のウツギが微笑んでいました。

 

 

対あさりのみそしる戦

先攻6-5で勝ち。相手はまったく対策していなかったプテラデッキ。幸い先攻でしたが、手札がかみ合わず足踏みをするうちにブラッキーを立てられてしまいます。こちらもプテラ前になんとかフシギバナを立てることに成功するも、エネが足りずに一方的に殴られる展開。ポケセンを使いながらフシギバナにエネをためる鬼辛抱が続き、プラパを引かれたらバナが倒されて負け、という場面もありました。転機は相手の残りサイド2枚でフシギダネを差し出したところ。相手が安全策をとったことでサイドが1枚手に入り、それが突風。決定機を伺っていたブラッキーフシギバナで落として勝負あり。一気にサイドをまくって大逆転を決めました。

 

 

団体戦の結果と振り返り

団体戦の結果は、10勝2敗ではちさん🐝チームの大勝利!

ユミルテミルさんは4戦全勝という好成績でした。

 

活躍がみられたカード

なんといってもまずはフォレトス

3勝を挙げたぷーさんは、フォレトス研究所の所長として面目躍如の活躍。マコマートさんは惜しくも勝利を挙げることはできませんでしたが、どの試合もギリギリの勝負に持ち込みました。

続いてはスピアーライン。スピアーが1エネで技を撃てるのはやはり大きく、また、コクーン(拡張シート青)が特殊能力で毒にできる点はあなどれない壁性能でした。

一方で、バタフリーラインはこの環境下でも目覚ましい活用はみられませんでした。さらなる研究が期待されます。

 

 

ルールについて

先攻後攻の交互決定については、チーム単位で先後の数を平等にするねらいがありました。しかし、先攻がわかっていることでスタートの幅が広がる場合があることから、大いに検討の余地があると思われます。

総当たりをやめるなら、先後だけが決まっている試合に、誰を出すかチームで決める、というのもルールとしてはありなように思います。そうなってくると後攻を受け持つ人、それ用のデッキ、などと別の広がりがありそうです。

 

 

おわりに

私は旧裏での団体戦は今回がはじめてでした。旧裏は競技人口が少ないこともあり、「環境読み」が個人単位で完結(ブログにまとめるなどして終わり)してしまいがちですが、明らかな味方のいる団体戦では複数人による勝つための環境読みが可能となります。そんな時間もなかなか楽しかったです。

今後も、さまざまな旧裏の楽しみ方を模索していければと思います。

 

 

参加者デッキリンク

うっどさん

note.com

 

ymirthemirさん

note.com

 

あさりのみそしるさん

jetome-magneton.hatenablog.com

 

ぷーさん

puuu3.seesaa.net

 

マコマートさん

makomart.hatenablog.com

*1:エリウツデッキの型で、手貼り型を「オーガニック」、マルマイン入りを「ノンオーガニック」「促成栽培」「合法肥料入り」などと呼ぶ(主に筆者が)ことからの転用。

*2:使いどころが限定されたトレーナーカードが多いデッキではままある不運。

デッキレシピ:殴る・蹴る・噛みつく・自爆

サワムラーの新作デッキをチャットでほのめかしたら、翌日突発的に「激突!サワムラー杯」なるものが開催されました(しかも私の参加できない時間帯に!)。

 

トーナメントには参加できませんでしたが、寛大な優勝者とのエキシビジョンマッチで使用したデッキを紹介します。

 

 

 

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殴る・蹴る・噛みつく・自爆

 

デッキレシピ

2 サワムラー(化石)
3 イシツブテ(neo3)
3 ゴローン(neo3)
1 ゴローニャ(化石)
4 ズバット(neo3)
3 わるいゴルバット(R団)
2 わるいクロバット(neo4)☆☆
1 ブビィ(neo1)☆☆/★★
 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
4 マサキ
1 礼儀作法
3 ポケモン交換おじさん

 
2 夜の廃品回収
3 退化スプレーhyper
2 プラスパワー
1 パソコン通信☆☆/★★
1 ワープポイント
2 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆☆/★★
1 抵抗力低下ジム

 

9 闘エネルギー


ーーーーーーーー

杉並殿堂2021☆:8/8
新殿堂   ★:6/8

 

 

基本的な動き・コンセプト

2ターン目まではイシツブテーゴローンで20+40点、わるゴルで10点の計70点で相手の攻撃の芽を牽制、ゴローンを場持ちさせます。

 

ゴローンもサワムラーも2エネ起動なので、相手の様子を見つつベンチを整備。サワムラーの「のびるキック」は、逆指名またはワープポイントで出番がありますが、「とびひざげり」ももちろん強力です。

 

後続にエネがついているなら、ゴローンはゴローニャに進化+エネ貼って「じばく」で退場。じばくは使えてせいぜい1回なので、わるクロラインを駆使してなるべく相手を倒せるようにタイミングをはかります。

 

草相手でも、序盤はゴローンラインで戦いますが、サワムラーを早めに準備します。それでもきついので、ロック系の対策と兼ねてブビィを採用しています。

 

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2ターン目までの展開例

 

ポイント解説

殿堂-2のワケ

このデッキ、実は大会のレギュレーションである新殿堂で、2点不足しています。

わるクロデッキはとかくデッキスペースがなく、いろいろなものを絞りがちですが、このデッキも例外ではありません。

 

「相手を呼び出す札」と「味方を入れ替える(前をどける)札」が1枚でこなせるのが逆指名。このデッキは基本死に出しなので、条件が整った場面で使うカードとして考えれば悪くはない兼用だと思います。1枚ワープポイントにしましたが、これも逆指名でよかったかもしれません。

 

パソコン通信はピンポイントでキーカードを引っ張ってこれるので、60枚余すところなく使いたいこのデッキには相性がよさそうですが、コストとして切る2枚に妥当なものがあまりありません。そのため2枚目の採用をためらいましたが、そもそもパソ通にタッチできないケースもあるので、2枚目もありかなと思っています。

 

 

エネルギー問題

デッキスペースが(略)

テンポを重視するデッキなので毎ターンエネを貼りたい、にもかかわらずこのエネ枚数は正直不安でしかありません。夜廃が2枚なのに、なるべくわるクロラインに割きたいという事情もあります。有利対面での安定をとるならジムを切ってもう1枚エネを増やすのがいいかなと思います。(てかサワムラー2枚もいらなくないか?)。

 

 

一般的なわるクロデッキとの比較

近年わるクロゴースは、ちょっと前の現行(ソード・シールドレギュ)の「三神ザシアン」といってもいいくらいの王道構築(かつ細かな工夫がものを言う)といえます。

 

それと比較したとき、やはりデッキパワーとしては見劣りするのが正直なところです。まだ記事は挙げていませんが、私が組んでいたわるクロゴースは以下のようなものです。

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ドロソがエリカ+ナツメの眼で安定しやすいうえ、ゴーストの「ポルターガイスト」で必ずしも相手のドローがデメリットになりません。また、ゴーストの1エネ起動も優秀で、不利な局面から盛り返す力もあります。一方、今回のデッキは直線的な構築なので、明確な不利盤面からの盛り返しは厳しいものがあります。

 

そしてゴースのトレーナーロック。化石ゴースの足止め性能も十分優秀です。

今回のデッキの安定火力と最大打点は魅力ではありますが、安定性の面では物足りなさがあるという感覚です。

 

 

エキシビジョンマッチ

先述の大会の優勝者・あさりのみそしるさんはフシギバナをメインとしたサワムラーデッキ

相性的にかなり厳しいと思いましたが、先攻を生かしてフシギダネを攻め、優位に展開。バリヤードでゴローンが止まるうちに苦しい展開になりますが、サワムラーがのびるキックととびひざげりで活躍し、最後はゴローニャのじばくでフシギバナとベイビィを落として勝ち。苦手の草相手にずっとブビィが引けず、ぎりぎりの戦いでしたがなんとかなりました。

 

パソ通でプラパを持ってこれるのは強い。バリヤードには、退化スプレーでゴローンを退化させると倒せるので狙っていましたが引けず。最後はゴローン、ゴローン、サワムラーでそれぞれ50点を見せつつ、ゴローニャへの進化を目指す展開でしたが、9枚しかないエネがすべて手元にあったのは幸運でした。 

 

 

おわりに

チャットでうっかり「サ ワ ム ラー」と答えてしまったばっかりに始まった今回の件ですが、サワムラーを使いたいと強く思ったのはつい最近のこと。

 

youtu.be

 

このポケモン金銀の対戦動画で、旧裏プレーヤーでもあるKGさんがサワムラーを使っていました。さまざまなポケモンが再評価されている現代ポケモン金銀(??)においても、かなりマイナーなポケモンですが、みがわり+きしかいせいがとてもかっこいいです。

残念ながら旧裏のサワムラーはみがわりはおろか、きしかいせいさえ使えないので、違う路線を探す必要があるな・・・というところからの着想でした。以前、わるクロ+ゴローニャ+わるいブースターのデッキを作ったことがあり、それをアレンジした形になります。

今回はデッキすべてを使いつくす、片道切符だけのおもしろいデッキになったとは思いますが、今後はサワムラーで一線級のデッキにできないか、さらに検討を続けることにします。

 

(きしかいせい使えたらな……)

 

 

デッキレシピ:テオ・テスカトルは突然に

 

あの日~あの時~あの場所で~君に会わなかったら~

 

きぜつすることはなかったのに

 

 

ということで、突然高火力を出す炎デッキの紹介です。

 

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2種のウインディを採用


  

 

 

コンセプト

カツラのウィンディの弱みである、【小回りがきかない】【逃げが重い】を解消し、快適に戦えるデッキを模索しました。

 

カツラのウィンディのデッキでは、下記に挙げる「カツウィン単」の完成度がかなり高いと考えており、これを参考にしながら劣化版にならないように調整しました。

note.com

 

方針としては単純明快で、2エネ30点を出せるタケシのキュウコンを軸に戦い、必要時カツウィンに化けよう、というものです。

 

化け先を探していたところ、トヨタオートウィンディときあいのハチマキの相性がいいと気づき、これを採用。カツウィンの4エネ120点を目くらましに、2エネ最大100点を狙います。

 

 

デッキレシピ

3 タケシのロコン(ジム拡張1)
3 タケシのキュウコン(ジム拡張1)
2 カツラのガーディ(カツラ)
3 カツラのウィンディ(ジム拡張2)
1 ウィンディ(トヨタプロモ)
1 ドードー(第一弾)
1 ドードリオ(ジャングル)
1 ピチュー(イントロneo)
 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
3 マサキ
1 マチスの交渉
4 ポケモン交換おじさん

 
3 夜の廃品回収
2 カツラ
2 ディフェンダー
1 学習装置
2 きあいのハチマキ☆☆☆☆☆☆/★★★★★★
2 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆☆/★★
2 ワープポイント

 

11 炎エネルギー

ーーーーーーーー

杉並殿堂2021☆:10/8
新殿堂   ★:8/8
高槻殿堂 OK(2021/05/04)

 

 

個別解説

スターターの選択

カツラのガーディはエネ加速もできてHP60と、たねポケモンとしては破格のスペックです。しかし、これでスタートしてしまうと、将来的に逃げ3のカツウィンを抱えることになります。相手次第ではタケキュウが使いづらく、こちらのスタートが勝りますが、今回はタケシのロコンでスタートしやすいよう、カツラのガーディは2枚にとどめました。

 

タケシのロコンについては、タケキュウのおにびで殴る狙いがある場合は1エネ20点出せるものが好相性ですが、後手を引いてもやれるHP50でかつ「ねむり」をまけるこちらを選択。コダックやゴースといったトレーナーロックも強く意識しています。

 

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あえてカツラのガーディを控えめに

 

化け札

タケキュウの化け先はシンプルに3種類としました。

エネの多色遣いは、ただでさえ化け札をそろえる負担のある中で事故率が上がりやすいと考えて避けています。もし虹エネを入れるなら、水対策にわるいデンリュウを入れてみたいところ。

 

基本的にカツウィンを化け先として、ここぞのところでトヨタオートを使います。ドードリオは逃げを強化するか隠し玉にするか悩みますが、1-1ラインなので自引き状況に任せて判断してもいいでしょう。

 

きあいのハチマキは基本的にタケキュウにつけますが、カツウィンに化けた状態で耐えても、その後はがせなくなってしまう点(HP90→HP70となるので80点できぜつ)に注意します。

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あくまで炎デッキとしてシンプルに化ける

 

 

水対策

水デッキについては基本的に切っていますが、カツウィンが120点出せるので、ワニ・カメクラスの相手でも展開次第でいい勝負に持ち込める場合があります。

 

逆に、より苦しいのがタケキュウを確1にする40点(80点)以上の中打点アタッカーを量産してくる相手。ワニ・カメと違って、1体討ち取って止まるケースがあまりないためです。いずれの場合も、ピチューの頑張りがカギです。

 

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致し方なく重装備したピチュー。ここまできたらだいたい負けだが、勝ち筋として残る場合がある。

 

べトン対策

ベトベトンは本来タケキュウには苦しい相手ですが、このデッキはカツウィン単体でも運用できるため、攻め時を間違えなければ悪くない戦いができるはずです。

グドラべトンは水デッキでもありますが、「だくりゅう」がギリギリタケキュウの確定打点に届かないので、攻め時をうかがうじりじりとした戦いになります。

 

 

使用感・問題点

5/4の高槻方面旧裏大会で使用しました。

残念ながら負け越してしまいましたが、グドラべトンやカメックスといった水デッキ相手でも肉薄したので手ごたえを感じています。

 

使っていて楽しいデッキですが、分岐が多く、判断を誤ってプレミにつながるケースが多かったように思います(学習装置とハチマキをいつ貼るか、いつ進化するか、カツラはいつ使うかなど)。このあたりはプレイヤーの反省として。

 

また、タケキュウデッキにはつきものですが、消費枚数が多いので、夜廃合戦やエイパム祭りまで持ち込まれないうちに勝負を決めなくてはなりません。マチスの交渉で甘えられればよいですが、水デッキや、草以外のポケセン入りデッキ、LOデッキは厳しい戦いとなります。なお、わるクロ相手ではきあいのハチマキが骨抜きにされてしまうのも悩みどころです(対象はワザのダメージによるきぜつのみ)。

 

 

おわりに

GWはひたすらモンハンライズをやりこみました。

デッキ名にしているテオ・テスカトルはかなりの難敵で、何度も倒されるうちに一瞬で葬られるスリルがやみつきになり、気づけば何体も狩っていました。大好きです。

「炎王龍」とも呼ばれ、ウインディとモデルが近そうなので、突如命を奪っていくモチーフとして据えました。

 
ちなみにタマミツネも大好きです。タケキュウを思いついたのは、実はここから。

なお、モンハンライズでは今のところ、テオ・テスカトルタマミツネの共演はありません。生息エリアからして厳しそうですが今後に期待です。

 

 

デッキレシピ:WARUMATA 41

 

かつて、プロ野球浅尾拓也という投手がいました。

ja.wikipedia.org

 

主に中継ぎとして8回に登板し、驚異的な防御率の低さ(ぜんぜん点をとられない)で、接戦の勝利に大きく貢献しました。絶対的な信頼のもと、勝負所ので数多く起用されましたが、それにもことごとく応える活躍ぶりで、いつしか相手チームも浅尾が出てくると負けを意識するようになっていたほどです。

 

そんな浅尾のような、完璧なリリーフを決められるデッキを考えました。

 

 

 

 

デッキの方針

リリーフエースを探す

「鉄壁」「リリーフ」をキーワードに、なぐれる要塞系カードを中心に考えました。まず出てくるのはラッキーとハガネール

しかし鋼ラッキーではずっとラッキーが主役なので、リリーフ感に欠いてしまいます。

 

一方のハガネールは、弱点がメジャーな炎ということで、最近はメインに据えた構築が減っている状況。とはいえ、要塞ハガネールが刺さる相手には絶望的な盤面を作れるカードでもあり、コンセプトに近いと判断しました。「尾=テール」なのもかみ合ってますね(?)

 

 

ゲームメーカーを探す

リリーフが生きるためには、序中盤を優位に進めるカードがメインに必要になります。ハガネールが動けるまで時間がかかるので、速攻系アタッカーを候補に考えます。

 

2020年は2ターン目で40点以上出せるカードが強さを知らしめている環境だったので、そのあたりから、鋼エネを共有しやすいわるいマタドガスを選択。2エネ40点で強いことがわかっているので、あえてタケキュウ型で打点の底上げをしない方向にいきます。

 

と、ここで非タケキュウ型の似たデッキを思い出します。 

blog.livedoor.jp


「スイカ流わるマタ」は非タケキュウ型でトップクラスの構築だと思っていますが、ハガネールでもラッキーに対してあまり劣っていません(下表)。さらに、ラッキーにない優位点として、殿堂の軽さや起動の速さがあります。

△わるマタの超弱点を受けられる(抵抗力はない)

〇鋼を共有できる

〇わるマタの弾切れ後も戦える

 

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ブルペンに浅尾がいる心強さを思い出す

 

 

その他のリリーフを探す

浅尾のロングリリーフだけに頼るのはいろいろしんどいので、ほかのリリーフ(サブアタッカー)も検討します。

わるマタは2エネ起動で、エネが枯れたターンが隙になりやすいので、1エネのアタッカーからパチパチピチューを採用。特殊能力が多い環境を見越し、打点の上限が低いわるマタの打点補助をしつつ相手に圧力(ベイビィ判定、攻撃対象のミス、焦りからのリソース切り等)をかけます。

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動く枠ではあるがワンポイントリリーフの変化球投手として

 

 

クローザーを探す

終盤にゲームを決めるカード(いわゆる岩瀬枠)があれば入れようかと思いましたが、このデッキでは夜廃を厚く積めば、わるマタでも十分その役割を果たせるんですよね。逆に、「ロングリリーフを見据えた先発浅尾は強い」ということで、イワークハガネールで序中盤を進めていくこともできるでしょう。あえてクローザーは採用しませんでした。

 

 

デッキレシピ

4 ドガース(イントロ)
4 わるいマタドガス(R団)☆☆☆☆
1 イワーク(neo1)
1 ハガネール(neo1)☆
1 コラッタ(R団)
1 ピチュー(neo1)☆☆/★★
 

4 オーキドはかせ
4 ウツギはかせ
4 クルミ
3 マサキ
1 ナツメの眼
3 ポケモン交換おじさん
2 礼儀作法

 

3 夜の廃品回収
3 エリカの親切
1 学習装置
1 きのみ
2 ポケモンぎゃくしめい☆☆☆☆/★★
1 ポケモンいれかえ
1 ポケモン回収
1 まきちらせ!ベトベトガス
1 元気のかけら
2 ロケット団のアジト

 

7 草エネルギー
4 鋼エネルギー☆☆☆☆/★★★★

ーーーーーーーー

杉並殿堂2021☆:15/8
新殿堂   ★:8/8

 

 

 

個別解説

ドロソ・サーチ

序盤にドガースを並べる動きは強いので、礼儀作法を複数枚採用。1ターン目になるべくデッキを見られるようにして、ドガースが2枚以上サイド落ちしているようならコラッタをもってくることも考えます(ピチューとは相性の悪いカードですが)。

元気のかけらは終盤にわるマタを活かすカードです。夜廃から引きに行くより手数が少なく、エリカの親切もあるので使いやすいでしょう。

また、もともと相性のいい相手ではあるものの、大暴走型オーダイルを強くみるのであれば、ナツメの眼をカスミの勝負に変えるのもおもしろいです。

 

入れ替え札

ピチューを採用する都合上、呼び出しのために逆指名を採用しました。イワークハガネール以外は逃げ1以下なのでタイミングよく使えれば強力で、終盤にハガネールと逃げゼロだけの状況にして使う方法もありますが、下手に手札に抱えてテンポダウンするようならおとなしく突風でもいいと思います。

ポケモン回収は壁にしたドガースからダメカンを減らしたい場面や、終盤にハガネールを使いやすくしたい場面で重宝します。ただ、通常の入れ替え札が少し不足している感じはします。

 

 

学習装置・きのみ

わるマタに学習装置は必須なので、もう一枚くらい入れたいです。きのみはハガネールにつけると相手の絶望感が増すので採用していますが、エリカの親切で十分延命可能という感覚です。

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サブアタッカー枠でこの回復リソースなら十分

 

ポケモン

採用枚数は4か1です。偶然ですが、浅尾の背番号は41でしたね。

 

 

使用感

よくも悪くもワンパターンだったわるマタデッキに、強固な後詰が控えているのはなかなか強力です。

スタートがイワークになるとやや動きづらいですが、ハガネールを目指すと見せて、逆指名を引いたら一気に展開してわるマタにスイッチする、といった動きもできて幅をもてます。また、鋼エネのやりくり次第では、ハガネールが2回立つこともありえます。

浅尾が1試合で2回出てくるって反則じゃないですか?

 

わるマタは一度ワンパンされ始めると立て直しが難しい面がありますが、ハガネールピチューがいいブレーキになってくれます。トレーナーロックに関しては強くありませんが、従来より受けやすくはなっていると思います。

 

 

結論:浅尾はどこで投げても強い

 

 

おわりに

今回のデッキは、予選・本戦でデッキを変えられる大会の予選で使い、本戦ではパーツを組み替えて別のわるマタで戦う予定でした。

上記の大会では苦杯をなめてしまいましたが、その他の対戦でもかなり高い勝率を記録しているデッキです。上記の大会の1か月後の別の大会で、なぜかわるマタの使用率が高かったのには驚きました。このデッキ、わるマタミラーに強いんですよね……。

 

また、 やはりハガネールは苦手対面以外で立てると強力で、現代将棋でよく言われる「隙あらば穴熊」のように、「隙あらばハガネールを目指すのも戦術としては有効なのかなとも思います。

ほかに公開中のものでは、下記のデッキで採用しています。ぜひ試してみてください。

m-pcgclassic.hatenablog.jp

 

縹グドラべトン補論

2020年に要所で使い、その都度ブラッシュアップしていった「縹グドラべトン」についての追記です。
1年を通してグドラベトンをまじめに追究してみて、これまで言及されてこなかった強さも見えてきました。この記事ではその強さについての解説と、環境とのかみ合わせをまじえた縹グドラべトンの分析を行っていきます。
 

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あらためてグドラべトンの強さとは

「なぜか強い」とされてきたグドラベトン

グドラべトンはキングドラが2進化のわりに打点が低く、逃げの重いベトベトンも狙われがちなので、パッと見あまり強そうに見えないデッキです。でも、「なぜか強い」とよく言われます。そして事実として、無事にグドララインが立てば長期戦で逆転しやすいのです。
 
「逆転」と書きましたが、グドラべトンを使う場合、サイドを大幅に先取されないまでも先に攻められる展開が多くなります。あと一押しされると絶望的、というような苦しい時間を過ごすこともしばしばありますが、そこで我慢して耐え、力をためてじわじわ反撃して差を詰めていくのがグドラべトンの醍醐味と言えるでしょう。
 
ではなぜ、それがグドラべトンで可能となるのか。
 
 

従来のグドラベトン評:グドラの高耐久+1エネ起動が強い

グドラべトンがじわじわ差を詰めていける理由として、従来は「高耐久・弱点なし・1エネ起動でポケセン相性◎」のグドラがベトン付きで堅いから、という説明がほとんどでした。もちろんその通りなのですが、これはカードパワーの評価に終始しています。

 

事実として起こっていることは同じですが、それをどの観点で捉えるかによって構築の方向性やプレイングの選択肢が変わってくるでしょう。本稿ではより鳥瞰的に、「それによってゲーム上何が起こるか」まで切り込んで行こうと思います。

 
 

本稿での注目点:”受け”が手得につながる

相手の攻撃を受けて、耐えて、逃げて、受けて、耐えて、ポケセン。これを「高耐久」と呼ぶのはその通りなのですが、本稿では違った捉え方をしてみます。
 
グドラべトンは相手の”攻撃機会”を結果的に減らせる
 
攻撃宣言は1ターンに1回しかできません。ダメージを与える機会もほとんどこのタイミングのみです。この攻撃機会を結果的に減らせるとはどういうことか。
 
対戦で起こることは変わりません。ダメカンがたまった状態でのポケセンです。相手の攻撃を、きぜつしないように受け回してから回復することで、何回ぶんもの攻撃(=攻撃機会)を無効化することになります。たとえば40点の攻撃を4回撃たれたとして、きぜつせずに受けきってポケセンで回復できたら、合計HP160の回復になります。これは相手の4ターンの攻撃を無駄にさせたと考えてよいでしょう。サイドで考えると2枚ほど得をしているでしょうか。そして、その間こちらが攻撃し続けていたとすると、相対的にこちらの攻撃機会が4回多くなっています
 
このように、一見消極的に見える”受け”(とポケセン)によって、実は大きな手得(結果的にこちらの攻撃機会が多くなる)を挙げられるのがグドラべトンの強さの根底にあると私は思っています。これが成立するからこそ、「りゅうのいでんし」→「だくりゅう」が30点しか出なくてもサイドレースで競り合えるのです。
 
 

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相手の4回の攻撃機会を奪ったポケセン

 

 

グドラべトンの強さを支えるキーカード

ポケモンセンター

受けに重きを置くグドラおいて最重要のカード。これを使いたいタイミングで使えるかどうかが勝負のカギを握ります。とはいえ序盤に来ても使いどころがなく、事故のもとになるため、何も考えず4投すればいいというものではないのが難しいところ。
 
エイパムで戻そうにも優先度が下がるため、残り枚数を意識してプレイングを組み立てることが大事になってきます。逆に言えば、ポケセンが使えてかつ相手の呼び出し札がないとわかっている場面では、前述の観点から無理に山札を引きにいかずにじっと我慢するプレイングも有力な選択肢になります。
 
 

ベトベトン

「グドラべトン」たる所以。殿堂が重いわりにまったく需要のない対戦もあるうえ、バトル場に呼ばれてロックされたり拠点にされたりといった弱点がありますが、間違いなくパワーカードです。
 
まず第一に受けに強くなります。この観点で、具体的には以下3つが挙がるでしょう。
①特殊能力で加速する攻撃を遅らせる
攻撃機会以外の打点(わるいクロバットラインなど)をなくす
③攻撃のサポートとなる動き(にげるサポート、えんかくさいみんなど)をつぶす
 
このように、多くの攻めの選択肢を減らすことができます。そしてこれにより、相手の出してくる打点、倒されるまでのターン数が読みやすくなり、ポケセンの使用をベストなタイミングまで引き延ばすことが可能になります。相手の選択肢が減ることで、先の展開まで計算しやすい状況にできる、これがベトベトンのもたらす”受け”の強さと言っていいでしょう。
 
 

リサイクルエネルギー

最近までグドラべトンの構築に入れていませんでしたが、「受けが手得につながる」ことに気づいて以降は必須のカードだと考えています。

 

元々は、「グドラは1エネ起動だからポケセンでエネがトラッシュされようとエネ管理はプレイングでどうにかできる」と考えていました。実際なんとかなります。しかし、このカードを採用すべき真の理由は、「グドラを逃がすためのエネが常に手元にほしいから」です*1

 

先述のように受けで手得をするためには、すぐに手負いのポケモンポケセンを使うのではなく、逃がしながら戦線を維持してポケセンのタイミングをはかることがカギになってきます。リサイクルエネルギーは逃げエネで切ってもポケセンで飛んでも手札に戻るため、このような動きを最大限に助けます。中終盤にエネだけのために山を掘るリスクを回避できるのも大きな効果で、さすがにここまでプレイングだけでカバーできないでしょう。また、常に手札に回収できることで、プレイングの幅を広く持てることも魅力です。

 

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逃がしてすぐリサイクルエネルギーを再利用できるのが強い
 
 
 

「縹グドラべトン」について

縹グドラべトンのコンセプト(振り返り)

ここまでグドラべトンの強さをあらためて振り返ってきましたが、「グドラべトンのどこを補強すべきか」にフォーカスしてつくったのが縹グドラべトンでした。

m-pcgclassic.hatenablog.jp

 

このデッキについては上記記事でくわしく解説していますが、要点だけ簡単にまとめます。 

 

まず大事にしたのは、グドラべトン本来の強さを損なわない構築にすること。よって、強力な回復カードであるポケモンセンターや、長期戦を戦う上で欠かせない夜の廃品回収を厚めに積むなど、グドラべトンでは定番のラインナップが多めになっています。 しかし、この構築段階では「受けが手得につながる」という発想はなく、リサイクルエネルギーは不採用でした。

 

この中で求めた特色は、グドラべトンの弱みである序盤に強い動きができ、中終盤にもアクセントをつくることでした。カスミのゴルダックラインは2ターンでHP50を倒すねらいを持っており、中終盤にもグドラにない打点で活躍機会が見込めます。また、ハナダシティジムで逃げゼロになること、「エクストラビーム」のエネ全トラのリスクはグドラの低コストがカバーすることが使いやすさを助長しています。

 

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2020/11/28 SMB本戦使用時

 

 

縹グドラべトンの実際

まず、当初のコンセプトはおおむねうまくいきました。先攻であればカスミのコダック→カスミのゴルダック+突風でテンポをとり、そのまま押し切ってしまうこともしばしば。

後攻だとカスミのコダックで殴る選択肢を取りづらいことが多くありましたが、別に通常のグドラべトンの進行をたどっても不満はなく、カスミのゴルダックは中終盤でも見事に活躍してくれました。

 

そして使っていくうちに、先述のようなグドラべトンの強さが見えてきたわけです。それに気づくヒントとなり、また知らないうちにその強さを強化していたのがカスミのゴルダックでした。

HP70の壁、軽い逃げ。アタッカーとしてバトル場で威張り、手負いになったらベンチに下がってポケセンを待つ動きは、アタッカーではないシードラにはできません。手負いでも、エネを貼っておけば死に出しで40点出せるのも心強い。

仮にベンチに引っ込んだカスミのゴルダックが呼ばれて落とされたとしても、こちらはグドラへの攻撃が1回減るので必ずしも悪い展開ではありません。

さらにこのデッキにはベトベトンというHP70の壁があり、HP50のたねポケモンタッツー、カスミのコダック)も場合によっては壁となりえます。

 

ただ一方で、ベトベトンが時間稼ぎに狙われやすいなど、グドラべトンのもつ弱みの多くは依然として抱えたままでした。これについて、2020年環境を分析しつつ、勝つのが難しいデッキを挙げながら次節で解説します。

 

 

2020年環境とグドラべトンの苦手デッキ

逆指名4投型

2020年の旧裏は、殿堂を問わず複数積まれた逆指名が威力を発揮する環境でした。なかでも、2ターン目から50点前後を出しに行く速攻デッキや、わるいクロバットラインをからめて打点を増すデッキ、トレーナーロックから入って優位性を拡大しにいくデッキなどは、逆指名を4投しやすい逃げゼロメインの構築で猛威を振るっていた印象があります。元々グドラべトンに強いとされているスライも時々見られました。

 

こういった逆指名4枚を効果的に使うことを前提に組まれているデッキ相手では、サイド4枚が逆指名で脅かされることを念頭に置いて戦う必要があります。特に特殊能力にあまり頼らない相手(エネエネにはべトンが間に合いにくい)に対しては、のんびり受けているようではリソースが十分にあっても逆転までサイドレースが間に合いません

耐久面においても、ベンチに下げた手負いのポケモンが狙われやすいため、ポケセンを早撃ちせざるをえない状況が多くなってしまいます。その状況で、毎ターングドラ確2打点(50点以上)を出されては戦線がもたないため、相手の完成盤面をなるべく維持させないようなプレイングが必要になります。

縹グドラべトンなら、カスミのゴルダックで序盤から圧力をかけて主導権を握りにいく展開も目指せます。ただ、先攻をとられると苦しいこと、相手と比べて序盤に強いカードや攻撃を意識したカードが多くないことから、理想盤面の実現可能性は相手よりだいぶ低いです。 

 

逆指名4投の相手に対しての戦い方は、なるべく無駄に逆指名を使わせること。もちろん無駄に落ちないように組まれていたり、リサイクルが多く積まれていたりするわけですが、ここに尽きると思います。使われても、サイドに直結しない使われ方(べトンを時間稼ぎに呼ぶなど)なら上出来と考えましょう。
 
 

超耐久型(くすぐりギミック積み)

くすぐりマシーン+にせオーキドはかせの「くすぐりギミック」が入りやすい環境では、グドラべトンは「耐久型」には区分しにくいでしょう。最初からLOの勝ち筋も視野に入れているデッキに対しては、グドラべトンは耐久戦でジリ貧です。あえて型に分類するなら「カウンター型」でしょうか。

 

2020年は新殿堂環境で「鋼ラッキー」の活躍が多く見られました。また、ハガネールも、炎などの苦手相手以外では強いことが時折示されていたようにも思います。

こうした鋼エネで要塞化する相手に対しては、「だくりゅう」の打点が雀の涙ほどにしかならないため、「たつまき」の上振れを狙うしかありません。しかし、ポケセンが使いにくくなるうえ、狙いが見え見えになるため、かなり勝ちにくいと言っていいでしょう。

縹グドラべトンなら、カスミのゴルダックの「スーパーデストロイ」でエネをはがす選択肢も持てますが、これも結局コイン次第です。

 

また、要塞化されないまでも、HPの多いたねポケモンが多いとサイド6枚奪取が果てしなく遠いです。もたもたしてるとくすぐりギミック圏内に入ってしまいますが、急いだとしても有利な展開に持ち込みにくく、2020年環境で最も苦手な部類と言っていいでしょう。

 

 

高HPたね+回収入り

これは超耐久型以外にも採用が見られるので別項での解説です。ポケモン回収が使いやすい環境ではこの組み合わせが強力で、これもグドラべトン同様「相手の攻撃機会を結果的に減らせる」戦術なのです。

 

他のデッキの主戦より弱い火力で戦うグドラべトンがサイドレースで勝つうえで、ポケセンをはじめとしたサポート札で生まれる「相対的な攻撃機会の増加」が生命線となることは先述の通りです。度合いは劣るとはいえ、相手にも同様のことをやられてしまってはこちらの攻撃機会が足りなくなってしまいます。

 

また、こうした壁+回収のデッキでは、前述の超耐久要塞や、高打点の重量級エースを育てる狙いがあることが多いです。前者については前項で解説した通りですが、後者についても、グドラをワンパンできるようなカードが出てくるようならかなり苦しいでしょう。

 

 

呼び出し+特訓ジム入り

グドラべトンの最も大きな弱点の一つが、べトンが呼ばれて縛られやすいことでしょう。ヤミカラスロックは言うまでもないですが、単にバトル場に呼ばれるだけでもテンポロスになることが多いです。突風や逆指名なら”使わせた”ともとれるので悪くはないですが、拡張ピッピやタケシのマンキーの技で呼ばれ続けるのはかなり苦しい展開です。

それを嫌ってべトンを出さない選択はもちろん賢明なのですが、エリウツデッキなどではべトンを出したあとにピッピを出されて痛い目を見ることがあります。相手のデッキ構成を予想したうえで「べトンをいま出すべきか」考えるというプレイングの問題に回収されそうですが、要注意ポケモンとして挙げておきたいと思います。

 

また、逆指名が猛威を振るう環境で採用が増えたのがロケット団の特訓ジムで、グドラべトンもこの影響を被ってしまうことになりました。呼び出されたべトンを、3エネも切って逃がすかどうか。入れ替え札を今使ってよいのかどうか(後々のヤミカラスのリスク)。かなり難しい判断を迫られると思います。ただ、見られたのは多くて2枚採用だったので、こちらもスタジアムを2枚採用すれば少しは対策できるかもしれません。

 

なお、少し本題からそれますが、呼ばれたべトンが拠点にされるという意味では、ファンクラブポリゴンも忘れてはいけない要注意カードです。「ハイパーテクスチャー」でグドラのタイプが変えられてしまうと抵抗力(ー30点)で技が通らないようになるうえ、HP50なのでグドラでワンパンしにくい相手になります。

カスミのゴルダックならプラパ1枚でワンパン圏内にできますが、ちょうどよくそうさせてくれる盤面にはなっていないはずなので、やはり難しさは残ります。

 

 

その他環境カードに対して

上記以外にも難しい相手はいますが、上記はグドラべトンの強さが歪まない範囲ではこれ以上対策のしようがないデッキだと考えています。

 

2020年はコダックやゴースといった序盤のトレーナーロックも猛威を振るいましたが、先攻ロックを決められてしまってはどのデッキも苦しいので、特に苦手というわけではないと思います。むしろ、ベイビィのほかに麻痺のまけるベトベターもいるので、最低限の対策にはなっているはずです。あまりに多いようならえんまくタッツーの採用も検討するかもしれません。

ハンデスに関しては、耐久札があるぶん他よりマシでしょうか。先1ミニスカなどはどのデッキでも回避するすべがないので考えないことにします(先1ミニスカおたけびは犯罪)。

 
また、呼び出し札が多くなくても、グドラ確2の中打点を連打してくるデッキ(ドンファンなど)は展開上かなり苦しい相手ですが、くすぐりギミックがなければ粘り勝ちの可能性を見出せるでしょう。
90点以上でグドラをワンパンできるデッキは注意しておきたいところですが、前述のようなサポートがないものであればだいたい炎なので(カツウィンやマグカルゴ)、カスミのゴルダックで弱点を突いてほぼワンパンできます。攻撃で先手をとれるようなプレイングを目指せば難しくないと思います。オーダイル(ワニカメ)に関しては、先攻ならべトンが間に合いますし、後攻でも回復カードが入っていなければチャンスはあるでしょう*2
 
 
 

デッキ改善の検討

 

逆風の環境ながらチャンスあり

逆指名環境だけでも苦しいのに、そのメタカードである特訓ジムも刺さり、鋼ラッキーもキツい――グドラべトンにはかなり逆風の環境と言えます。一方で、特殊能力をメインギミックに組み込んでいるデッキにはやはり強く、また多少の苦手対面でも中盤まで持ち込めれば十分に勝負になるため、Tier1(環境トップ)には入らなくても常に意識されるデッキであることに変わりはないでしょう。
 
その中で、2020年環境に対抗するというより、うまく取り入れていたのが「グドラべトンLO」でした。くすぐりギミックを積んでLOの選択肢をつくりつつ、こちらからトレーナーロックを仕掛けようというこわがらせるゴースの採用。ポルターガイストゴーストはもちろんトレーナーロックと好相性ですし、大暴走軸のデッキにプレッシャーをかけられます。くすぐりギミックはラインが細く、あわよくばという採用でしょう。ドロソも工夫されてはいますが、それでも事故のもとが増えるのでプレイングの難しさは増す印象があります。 
 
さて、環境の逆風よりも残念なのは、すでにポケセンに1点の殿堂がついていた杉並殿堂で、2021改訂ベトベトンに7点(2020年は5点)の重い殿堂が課せられてしまったこと。これではここまでくどくど述べてきた、グドラべトンの強さを成立させるパーツがさっぱり積めなくなってしまいます。本来中盤までもっていって初めて勝負にできるグドラべトンが、序盤勝負に比重が傾いた環境でここまで使いにくくなってしまうのは厳しいと言わざるを得ません。
ただ一方で、それでもグドラが研究され、べトン以外の新たな相棒が見つかることには少し期待したいと思います。
 
 

べトン不要論について:ピチューは代用になるか

ベトベトンは相手によってはまったく活躍せず、場に出せばよく標的にされるため、重い殿堂に見合う活躍をしているかどうかは測りがたいものです。その中でよく話題に上るのが、より軽い殿堂でのべトンの代替です。
 
べトンは先述のように守りには大きく働きますが、攻めに関してはあまり寄与しません。確かに、ミュウ(ニュートラルシールド)やバリヤードの特殊能力が消せるのは、こちらの攻撃機会が減りにくくテンポがいいです。しかしべトン入りなら相手が出さないでしょうし、ほかにめぼしいターゲットがいません。そこで、特に攻めを意識したときに、ピチューのほうが活躍しやすくお得なのでは、という話になります。
 
結論から言うと、ピチューは代用にはならず、べトンが防いでいた相手の攻めをどうするかを構築段階で意識しないと失敗します。
ピチューでは特殊能力を牽制できてもシャットアウトはできません。相手の特殊能力が働き続ける中で、どのように攻めを凌ぎ、先にサイドを取り切るプランを立てられるかがポイントになってきます。ピチューは全体の守りを向上させる札にはなりませんし、攻め札としても早くはなく耐久も運次第です。そのため、ピチューを採用する場合でもピチュー以外で埋め合わせをする必要が出てきてしまうのです。
 
受けの観点でいえば、やはりべトンのパワーは代えがたい大きさがあります。部分的には「アレルギーほうし」のパラセクトなどが考えられ、オーダイルなどにはこちらのほうが刺さりますが、これまでべトンの存在で考えなくてよかったわるラフやプテラへの対抗札はまた別に必要になってきてしまいます。ピチューで3回パチパチを撃つ余裕はそうそうもらえません。また、モクモクブビィも同様ですが、1ターン1回の攻撃機会を使って特殊能力を抑制しようとするのは、継続的なサポートが必要なグドラにおいては限界を感じます。
 
攻めについては、グドラはそもそも低打点と2進化の遅さから親和性が低いカードです。攻めを意識したデッキ相手に後れを取りやすく、単純なサイドレースを意識して攻め札を考えていくと、かえってグドララインが不要ということになってしまいかねません。そこで、攻めについては単純な殴り合いにならない搦め手を意識して検討するのがよいと思います。
 
その意味で、2020年にインパクトがあったのが錯乱グドラでした。殿堂4点の錯乱ジムで相手の動きを抑制し、スタジアムの支配権を握ってうまくかわしながら我慢比べで勝つデッキです。ゴースのトレーナーロックやヤミカラスロックの狙いもあります。ただし、錯乱ジムはロックではなく抑制なので、相手の出方やコインの出目を計算しにくい部分に受けの難しさがあります。 
 
さて、長々と検討を続けてきましたが、べトンの効能を「デッキ全体の受けを強くする」ととらえるならば、これに代わる札はそうそうないはずです。ただ、デッキパワーの観点から考えるなら、べトンに代わる札がグドラと高い親和性を発揮する可能性はまだ残されていると思います。今回は「べトンの代替」という発想で検討を進めましたが、おそらく「いかにグドラの特徴を支え、強化するか」といった発想から検討していったほうが探しやすいでしょう。
 
 

以上を踏まえて縹グドラの改案

in

1 リサイクルエネルギー★★
2 ポケモンぎゃくしめい★★
out
2 突風★★★★
1 基本水エネルギー
(★は新殿堂の殿堂ポイント)

 

 

前述のように、確かに環境は逆風ではありますが、「この戦型でまだまだ勝負になる」というのが私の結論です。

 

縹グドラべトンでは、2枚の突風が要所で働き、序盤のリードや終盤の巻き返しに寄与していました。しかし、リサイクルエネルギーの採用*3で突風が1枚になってしまうと、どうしても反発力に乏しく、カウンターが間に合わない傾向がありました。そこで、より殿堂が軽く、トレンドでもある逆指名の採用を検討しました。

逃げの重いべトンがいるデッキでの採用は意外に感じるかもしれませんが、べトン以外はバトル場に呼ばれてもあまり困りません。グドラは1エネで動けますし。

 

もちろん使うタイミングは突風より限定されますが、以下のように相手の手に乗って使うことを想定しています。

①べトンがバトル場に呼ばれたとき、べトンを逃がしつつ標的を呼ぶ
②きぜつの際、あえてべトンを前にして標的を呼ぶ

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べトンが前なら逆指名が使いやすい状況が多い
 
べトンが呼ばれやすい弱みを逆手にとり、呼ばれたことをメリットにしてやろうという狙いがあります。多少の使いづらさはありますが、もともと我慢してタイミングをうかがうデッキでもあるので、事故のもとにならないようにだけ気をつければ大丈夫でしょう。
 
また、カスミのコダックで1ターン目から攻勢に出た場合、3ターン目までは逆指名を使っても逃げ1で済む(まだグドラがいない)ことが多いため、序盤はわりと能動的に使えます。なお、このタイミングでハナダシティジムを引けると逃げゼロになって強く、特訓ジムが増えるのも見越して2枚目の採用を検討したいところですが、今回は枠を見つけられずに見送っています。
 
 
 

おわりに

どんなゲームでも、ある程度プレイしていくと、自分の得意型が見つかっていくと思います。旧裏は一度流れをつかまれると一方的になりやすいゲームですが、その中でも我慢し続けるとチャンスがあるグドラべトンは私に好相性の型だと感じ、2020年は意識して使い続けていました。
 
昔からたくさんの人が研究している構築であるため、どうしても字数を費やしてしまいましたが、少しでもグドラべトンの強さと奥深さが伝われば幸いです。
 
気づけば補論が本論の倍の分量になってしまいました。これで縹グドラべトン補論を終わります。
 
 

*1:リサイクルエネルギーとグドラの逃げについてはほえらさんから示唆をいただきました。

*2:見かけたことはありませんが、ワニカメにいいきずぐすりピン差しは強いと思います。

*3:基本的なメリットは前述の通りですが、カスミのゴルダックのエネトラッシュリスクにも相性がいいです。